昨晩、連休を利用してこちらへ戻っていた兄が一人でやって来た。彼は上場企業に宮仕えし、3年前関連工場の経営を立て直すという使命を帯び、北陸に本拠をおくある会社の社長として単身赴任した。ぬるま湯の社風を変えるべく毎朝7時に正門に立ち、社員一人一人に声をかけ、叱咤激励の毎日を過ごしたが、危機感の薄い風土の社員の士気は思うように上がらず、焦燥の日々を送る。先日、信念を曲げられず本社の幹部とぶつかった・・・と愚痴をこぼしたことのない兄が話をした。兄は、私のまだ訪ねたことのない土地で戦っていた。子供の頃に私の憧れの存在だった白髪の目立つ兄が駅に向かって歩いていくほろ酔いの後姿に、私は学生時代のかっこよかった兄の姿を重ねていた。 私の家で酒を飲まないという記録は、このようにストップした。 私も、まだまだ戦っていこうと・・・思った。 |