10 年前に亡くなったご主人への思いを、いまだに断ち切れずにいる女性が私の目の前にいて・・・彼女の周囲の時間も動きを止めているように見える。いっしょに過ごした時間が僅かで死別した、人としての全てを知る前の、ただ素敵なだけの彼の姿が心に焼きついているのだろう。彼女が今、寂しさを紛らわせるために付き合っている結婚する気のない若い彼氏も、彼女の母親も、彼女の友人も、彼女の放つ刹那な世界観に飲み込まれて輝きを忘れている。 私にできることはないだろうか・・・ 止めてしまった歩みを、一歩踏み出せば、あなたの周囲の沢山の人たちが新しい世界への旅に出れるように思います。もう進みはじめてもいいのではないでしょうか・・・神様に時間という貢物を、もう充分捧げてきたのだから・・・ 私は、メールの送信ボタンを押さずに、消去した。 |