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SOLILOQUY

ひとりごと

 
September 30, 2011 11:47:31

調律

カテゴリー: 日記
今日は、コンサートの日…朝からピアノの調律師さんが来ている。
この調律師さんは私から見ると少し変わっていて、以前こんなことを話されたことがある。
“高校の時に自分の部屋で、好きな女の子のことをずっと考えていたら、自分の体から抜け出して町の中を鳥のように移動して彼女の部屋の内に行ったことがあるんですよ…。”こんなことを真面目に言う。
こんな話もあった。“ある時誰もいない部屋で、自分をテーブルの向こう側から見てみたいと思って数時間思い続けたら、ほんの一瞬向こう側から自分を見れたんですよ…。”

ちょっと危ない経験談だが、彼の言うことを私は嘘だと思わない。だから彼は私に話してくれたのだと思う。

先ほど彼が調律のために、ピアノを分解している最中に、先日ピアニストが言っていたフェザータッチの時の鍵盤の戻りについて話をしてみた。すると分解された部品を示しながら鍵盤がどのような仕組になっているかを丁寧に説明してくれた。ピアニストの言っていたように、鍵盤によって確かに戻りの速度が違うことを視覚的に理解できた。
調整の様子をしばらく見ていたら、あの時にピアニストが言っていた違和感を、少しだけ頭で理解できたように思えてきた。

今日は、得した気分…。私は、自分にない優れた能力をもつ人の経験談や職人的な解説を聞くと一日が幸せに思えてくる。

きっかけを与えてくれたピアニストと、少し変わっている調律師さんに感謝した。