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SOLILOQUY

ひとりごと

 
May 29, 2010 20:18:32

感性

カテゴリー: 日記
ギターの先生が、私に「自分の目指す未来を、見通したことがあるか?」と訊ねた。当然私は「ありません。」と答えた。先生は続けた。「自分の目の前には大きな板があって、向こう側は全く見えない。しかも板は1枚だけではなく何枚かが重なっており、どう考えても先など見えるわけがない。しかしそれぞれの板には小さな穴が開いていて自分が動いてみたり、板が少しづつ動くうちに、極々稀に穴が一直線に揃う瞬間があり一瞬向こうの世界が見えることがある。私はそんな経験を2度したことがある。」と言うのだ。「一つは、普段なら初見の曲を人前で弾けるようになるまでに私は2週間はかかるのだが、コンサートの直前に知人の作曲家から譜面を渡され、その作曲家からあなたなら1日で弾けるようになると言われ、出来るわけがないと思いながらやってみたら一回弾いただけで自分のものになった。」こと・・・実際に目の前でその曲を演奏してもらったのだが、たいそう難しそうな曲であった。「もう一つは、イラストを描く女性とそのご主人と3人でギターの練習をしていた時、彼女のギターからそれまでの響きとは違う聞いたことのない深い音が発し、同時に3人が顔を見合わせた。次に弾いても同じ深い音が響いた。全員沈黙のままその音は響き続けたが、数分後に、どのようにしてもその音は鳴らなくなっていた。私たちは、今も自分たちの未来の姿(その音を自分が爪弾いている未来を見せられ)に向かって日々努力している。」と言うのだ。私はこの話が嘘であるとは思わない。ただ、普通の感性の人には少し理解し難い話かも知れない。

私には、そのような実体験はないが、先生からあなたももうすぐ経験することになる・・・と言われた。怖いような嬉しいような・・・あまり気を張らずに教室に通いたいと思う。