昨日、あるパーティーで実兄と同席した。その際、勤めた会社を3月末で辞めることになったと、ポツリと言った。62才である。60才だった定年年齢が伸びる傾向の昨今の定年事情だが、最後は関連会社の社長職まで上って62才まで働いたのだから、私の兄は優秀な勤め人だったに違いない。 兄は5年前に上場企業を一旦退職し、石川県のある関連会社に単身赴任で社長として勤めた。しかし1ヶ月前に本社から辞令が下り企業を去ることになったわけだ。 兄がポツリと言った。“せっかく、これから良くなる言う時に…。”悔しさがにじみ出ていた。 政権が自民党に移って、未来に明るい兆しが見えた矢先の辞令が残念なのだろう。 人それぞれに役目がある。厳しい時代に守りに徹して耐え抜く役、動きが出た時に一気に攻撃に打って出る役…。本社が、兄の適正をそこまで考えて配属したかどうかは分からないが、私は兄が自分の役目をしっかり果たしたのだと信じることができる。 62才…兄は白髪ではあるが、まだまだ若い。職を失ってこれから先どうするのだろう。退職を前にして、企業一筋に生きた勤め人の多くが感じる…これからの生活に対する不安が一気の湧いてきたに違いない。 兄のこれからの人生が、より楽しいものになるように、心から祈りたい。 |