マダムは自分の書いた詩に挿絵を入れて本に仕上げようと思い、若い女性アーティストに絵を描いてもうように依頼した。出来上がった絵は、なかなか味のある絵で一枚一枚額装して飾りたくなるくらい素晴らしい。初めての挿絵の依頼で、画家が精一杯頑張ったと推測できた。 ところが詩と合わせて見てみると、ぶつかり合って互いの良さを殺し合っている。挿絵というものは文字を活かすものでないといけないはずが、逆の結果を生み出している。 控えは控え…、影は影…、引き立て役は徹底して引き立て役にまわらないといけないことが、若い画家にはまだ理解できていないのだろう。 私は、マダムにそんな私の感想を伝えたが、さて…マダムは画家に正直に言えるだろうか…?言えるか言えないかがマダムの力だ。 影の力を知り、認め、正しい評価をくだすことが、生きていくうえで大切だと自分に言聞かせる。 二人の今後のぶつかり合いを、しっかり見届けたい。 |