自分のなかの他人より劣っている部分を、はやく把握し、足りていない部分をカバーする方法を見つけて手を打つことができれば、劣っていることが個性になっていく…と言う話を、私もいろいろな人にしたことがあったけれど、今年の春頃に偶然観たテレビ番組で、脳に極めて大きな障害のある女の子を持つアメリカで会社を経営する日本人のシングルマザーが、“周囲の人は、私を励まそうと思ってのことだろうけれど、私の子供にもなにか優れたところがあるに違いないと言うけれど、私の子供には他人より優れたところは一つもない。”と、話した映像が今でも私の頭から離れない。 世の中には、私の想像をはるかに超える貧困、暴力、無知、飢餓、悲しみ、痛み、障害があるのだろう。 それらのことを私は、まだ知らない。いや目を背けているのだ。 その世界に生きている人達に私は、どう声をかければいいのだろう。 答えが分からない。今は言葉がでてこない。 あの母親の言葉が私の胸に突き刺さっている年の瀬だ。 |