はきはき みのむし せつこ (工藤 直子) ひとりで ブランコしていたら とんぼが「あそぼう」と とんできました わたしは「はい」というかわりに かくれてしまいました そのよる ねどこのなかで へんじの れんしゅうをしました 「はい!あそびましょ はい!あそびましょ はい!あそびましょ」 あしたは はきはき へんじができますように あしたも だれかが あそびにきますように みのむしせつこが願っているのは、〈だれか〉と〈あそび〉たいということだ。 1連では、 〈 とんぼが「あそぼう」と 〉 飛んで来たときに、せつこは、 〈 「はい」というかわりに かくれてしまいました 〉 せつこは、とんぼが飛んで来て、「あそぼう」と言ってくれたとき、「はい」と言いたかっのに、隠れてしまった。 2連では、 〈 ねどこのなかで へんじの れんしゅうをしました 〉 1連で、〈「はい」というかわりに 〉なのだから、せつこが遊びたいと思っているのだなということは、読者にも伝わってくる。 2連になると、〈 へんじの れんしゅうをしました 〉というのだから、せつこの遊びたい気持ちがはっきりわかる。 ということは、2連は1連のくりかえしになっているのだ。このくりかえしは、同じことばのくりかえしではなく、ことばは違うけれども、内容のくりかえしになっているのだ。 そして、〈へんじの れんしゅうを〉3回もするのだから、せつこの遊びたいという気持ちが、強くなっていることもわかる。 だから、2連は、1連のくりかえしなのですが、1連よりも気持ちが強くなっているので、発展するくりかえしといいます。 3連では、 〈 へんじができますように だれかが あそびにきますように 〉 と、せつこの気持ちが、具体的になっている。 1連から2連へと発展したせつこの気持ちが、3連になるとより発展して、返事ができるように、誰かが遊びに来るようにと、具体的な願望にまでなっているのだ。 〈 はい!あそびましょ 〉と、3回も練習したのだから、あした誰かが来たら、きっと〈 はきはき 〉と返事して、せつこはいっしょにたのしく遊ぶことだろう。 |