おんなのこ まど・みちお おんなのこって すずしそう かぜのこと つれだって スキップ する スカートの なみ うたみたい おんなのこって ひっそり なく そのとき ちょっと かわいそう みない ふり していてやる おんなのこって おこると ぱあ ごきげんだと いかす いっしょに にじの したに いるみたい まど・みちおは、1909年生まれで、戦前から童謡を書き、戦後童謡の代表作といわれる「ぞうさん」をはじめ、数多くの童謡を書いている、子どものための詩では、第一人者の詩人だ。 ものの原理を覗く目で、身近なものを愛情豊かに表現する、まど・みちおの詩には、郷愁をも感じさせられる。 「まめつぶうた」「まど・みちお詩集(全6巻)」など、多数の詩集がある。 「おんなのこ」は、なんともさわやかな詩だ。 いわさきちひろさんの「緑の中の少女」を、イメージするような詩だ。 「おんなのこ」は、恋の詩だろうか。 1連2連は、特定の女の子ともいるし、話者のまわりにいる、女の子たちのことだともとれる。 3連では、すこしだけ、特定の女の子のことを言っているのかなぁ、というイメージもでてくる。 この詩の話者は、何才くらいの子どもなのでしょうか。男の子だというのはわかります。 〈 おんなのこって すずしそう かぜのこと つれだって スキップ する スカートの なみ うたみたい 〉 そういえば、スキップするのは、女の子だけのような感じがする。 それにしても、女の子を、〈 すずしそう 〉と感じるこの男の子は、なんともさわやかな感性を持っていることだろう。 女の子が泣いているとき、〈 みない ふり/していてやる 〉のも、この男の子のやさしさを感じる。 〈にじの したに/いるみたい〉で、この詩の世界が、いっきに広がる。 男の子が女の子を意識しはじめ、女の子が男の子を意識しはじめるとき、この詩のような、さわやかな感性で相手を見て、やさしく対応してあげてほしいものだ。 そして、〈いっしょに/にじの したに/いるみたい〉な、ひろやかな喜びをも感じてほしいと思う。 やっぱり、「おんなのこ」は、恋の詩だ。 |