たんぽぽ 川崎 洋 たんぽぽが たくさん飛んでいく ひとつひとつ みんな名前があるんだ おーい たぽんぽ おーい ぽぽんた おーい ぽんたぽ おーい ぽたぽん 川に落ちるな 川崎 洋は、わかりやすく楽しい子どもの詩をたくさん書いている詩人だ。 たんぽぽが、たんぽぽと呼ばれているのは、なぜだろう。 誰かが、はじめに、これを「たんぽぽ」と呼ぼう、と言ったからだろうか。 たんぽぽにかぎらず、すべてのものが、その名前で呼ばれているのは、なぜだろうか。 すべてのものが、誰か、こう呼ぼう、とはじめに言った人がいるのだろうか。 ものの名前が、なぜその名前なのかは、ふだん考えてもみないが、あらためてなぜと聞かれると、ふしぎな感じがする。 また、それぞれのものに、それぞれ違った名前があるというのも、ふしぎだ。 「たんぽぽ」の詩で、飛んで行くたんぽぽに、 おーい たぽんぽ おーい ぽぽんた おーい ぽんたぽ おーい ぽたぽん と呼びかけたのは、たんぽぽのたくさんの綿毛の、一つひとつは、みんなたんぽぽでありながら、それぞれは、かけがえのないひとつであると思っているからにほかならない。 子どもたちもそうだ。 ひとからげに、子どもたちと言っているが、一人ひとりの子どもには、それぞれ名前がある。 一人ひとりの名前が違うように、一人ひとりの子どもが、違う個性を持ち、違う生き方をするのである。 これはほんとに、言うのは簡単だが、こころの底からそのように思い、子どもに対していくのはたいへんである。 私も、子どもたちを、一人ひとりの子どもとして見ることができるように、詩を読み、学習を続けていきたいと思う。 |