人はどうして死ぬのだろう?老化するのだろう? 重い病気にもかからず、事件や事故や戦争や災害にまきこまれずに生きてきても、体の組織が再生しなくなり死滅する‘人のもつ寿命’とうものがある。 経験を深め、思慮深くなり、何にでも対応でき、悟りの境地に入る…大抵の人はそこに到達する前に死を迎える。 そう考えると、人にとって、もがき苦しみ壁にぶち当たり挫折し再びチャレンジすることが生きる意味のように思えてくる。無知で、未熟で、周囲が見えずに、ただただがむしゃらに生きる人生を、もう一度生き直すために“死”というものがあるように思えてならない。 私の内から、若かかりし頃に経験した感動や怒りや恐怖や嗚咽や歓喜が遠のく。 私に確実に死が近づいていることを自覚する。 それが人として生まれた定めだと納得する。 |