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SOLILOQUY

ひとりごと

 
April 29, 2010 20:32:26

贈物

カテゴリー: 日記
私が高校2年生の時、喧嘩で頭に重症を負った友人を見舞うため病院に行ったとき、その当時私が好きだった作家が書いた小説をお見舞いとして持っていった。実は、内容を知らずに作家名で選んだわけで・・・このことが後で私の人間性に対する彼の不信を呼び起こした。当時彼が付き合っていた彼女は体調が悪かった。読んでみて分かったのだが、その小説のなかの主人公の女性は病気で死んでしまうという終末を迎える・・・彼は、内容を知ってその小説を選んだのか、私に問うたことを今でも覚えている。
私が20歳代後半の時、ある女性から“夜と霧”という本をプレゼントされた。彼女はベルリンでバレーの修行をしていたが、足の怪我のためにバレリーナの道を断念して日本にもどってきたところだった。“夜と霧”とは第二次世界大戦中のユダヤ人捕虜収容所でのドイツ軍の虐殺を描いたノンフィクションの歴史的価値の高い本であり、残酷な描写が延々と続く。読み進めるなかで、何故彼女が私にこの本を渡したのか、疑問が膨らんだ・・・だが本人に確かめることもなく、それ以降会うこともなかった。
本のギフトは、よほど慎重でなければならないと肝に銘じた。

この度の旅行中、ホテルのギフトショップで一冊の絵本を手に入れた。絵のタッチの柔らかな、装丁の美しい本である。内容を見ずにプレゼントとして買い求めた本は、プレゼント包装ではないがホテルのシールで封印されている。後で読んでみるつもりだったが、そのシールを剥がすことにためらいが起こり、読まずに贈ることに決めた。果たして、この度の本のギフトは、今までのような問題を伴わずに喜んでもらえるだろうか・・・