高校3年の授業で、現代国語の先生が突然みんなにこんなことを聞いた。 「修行の僧侶が一人であぜ道を歩いていた。すると田んぼのなかから農民に化けた盗賊がが鎌を振りかざして、“金を出せ。さもないと命はないぞ。”と脅してきた。僧侶は“修行中の身うえ、金銭は持ち合わせない。本当じゃー”と言った・・・僧侶はそのまま放免され、しばらく歩いた後、実は五文の金を持っていたのに仏に仕える身でありながら嘘をついたことを悔い。今来た道を盗賊のもとに引き返した。」 この話をどう思う?という質問だった。一人の男子が手を上げて、こう答えた。「その坊さんはアホやと思います。失敗や後悔を過去に戻ってなんとかできるほど人生は甘くないと思います。」と答えた。出題した先生は一言「そやな」・・・ 私は、今でもこのやりとりを鮮明に記憶する。実は、そのとき私の思いついた答えは違っていた。 しかし今なら、十代の男子と同じ答えをするだろう。間違いや後悔も必然があって起こるに違いない。だから後ろに戻るのではなく、前に進む中で新しい自分の糧にすれば良い・・・と どんな成り行きがあろうとも、自分から離れていった人、自分から離れた人・・・その人たちと元の関係に戻る事は避けたいと思う・・・今の自分である。 |