空飛ぶ夢を見るヤツは欲求不満なんだそうな。
地面を蹴ってジャンプすると、電線くらいの高さまで浮き上がってそこから降りられなくなる。
とりあえず自分の進みたい方向に向かってどんどん加速していく。
落ちないことがわかったら今度は上へ上へと上昇してみる。
でも、空の上には何もないから、飽きちゃってまた電線くらいの高さまで降りてきてそこら辺をぐるぐる飛んで見る。
あるのは流れていく景色と浮遊感、風の感触・・・?かな?
思うのは、『あ、やっぱりオレって飛べたんだ。』って言う安心感。
そう、同じような夢は何度も見ている。
現実の重くてだるくて痛い身体ではなく、超人のような軽くて自由に動ける身体。
そして空を飛んでどこへでも行けるという身軽さ。
『翼なんかなくても重力さえコントロールできればこんなもんだよ。』
ボソッとつぶやく自分。
屋根も電柱も上から見下ろす。
地べたを這いずり回る人類に『ゴクローさん。』と言ってみる。
軽い。
どこまでも行ける。
なんだってできる。
・・・下から狙撃されない限り(--;。
そう思うころには夢である事を自覚して、目が覚めて消えていく自分を理解している。
あ~~~~~、素晴らしい夢だった、まさに欲求不満だな。
はぁ・・・、暑いね。
ソレしか言う事ねぇのかよ?って言うくらい『暑い』って言葉しか出てこないね。
また請求書と保険の用事を済ませて泳ぎに行ってくるよ。
おもしろい事なんか何もない。
ソレこそ這いずり回っても『ゴクローさん』とさえ言われる事のない人間なのだから。 |