この絵は、35年前に私が描いた絵である。このたび、この町を訪ねるにあたり、どうしてももう一度行ってみたい場所であった。ところがどのあたりにあったのか記憶が定かではなく、ホテルのフロントの若い女性スタッフに尋ねてみた。しばらく黙って考えこんで地図をひろげて行き方を教えてくれた。
グランドを見つけた時には胸が高鳴った。
絵を描いたポイントに立ってみると、大きな木が何本も茂り、ほとんど建物が見えなくなっていた。35年という歳月の経過を感じた。
以前この町を訪れた時にはメインストリートには250年前の街並みがそのまま残っている…と聞いたから、今では300年弱経過したことになる。
建物には建物の時間スパン…、木には木の時間スパン…、人には人の時間スパンがあり、それぞれが重なりあって世界ができているように思えた。
グランドの場所を訪ねたホテルのフロントの女性にホスピタリティ-を感じなかったことを残念に思う。 |