今日は私のホールで、女性ばかりの歌の発表会が行われている。ほとんどの方が70才を越えている。発表会と言っても家族や知人が聞きに来ている風ではない。歌謡教室の20名くらいの生徒が集まって順番に歌っているようである。 聞いていると、はっきり言って…みんな下手である。だが、真剣に歌っている…これは間違いない。 真剣に歌われると、それほど不快感はない。 さっきの人は“シクラメンの香り”をうたった。学生時代を思い出した。今歌っている曲は“川のながれのように”である。懐かしくて口ずさんだ。いい歌だ。 彼女たちは、誰かに聞いてもらうためではなく、みんな歌いに来ている。そう感じた時にこの会の趣旨が理解できたような気がした。 二日前に行われたコンサートの腰の曲がったおばあさんの弾き語りを思い出した。おばあさんの歌には伝えたいとう叫びあった。 今日の彼女達とあの時のおばあさんの歌との違いは、刻まれた人生の皺の深さ、背負ったものの大きさだろうか? 人の心に入り込む歌を歌うには、それなりの人生経験が必要なのだと、今日改めて…思った。 |