夜のタイムズスクエア―の近くをドラッグストアーに向かって歩いていた。目の前の交差点の向かい側に店が確認できたころ、幅広い車道に車が通っていないことに気が付いた。交差点の手前には救急車が止まっていて年配の女性が手当を受けていた。さらに交差点に近づくと黄色いテープが張り巡らされて横断ができない。訳が分からずに見ていると立ち入り禁止の黄色いテープの領域がどんどん広がっていく。
店は目の前だと言うのに近づく術がないと知り他の店でビールを買ってホテルに戻った。テレビを付けるとライブニュースで先ほどの交差点での出来事が報じられていた。
薬中の男があばれだし、駆け付けた警官の前で内ポケットに手を入れたため、警官が発砲、流れ弾が二人の一般市民にあたり、あの騒ぎになったと言う。結局無傷で取り押さえられた犯人は拳銃を所持していなかったという。
35年前には夜は出歩くなと言われたニューヨークの治安は、格段に良くなったと思った矢先に、この事件だ。
ネットで(ストリート名・発砲事件・9月)…と、検索してみたら昨年の9月に近くであった発砲による殺人事件のニュースがヒットした。
この程度の事件では、勿論日本で報道されることもなく、あくる日の地元ニュース番組ではほとんど取り上げられていなかった。
日本の常識とは大きな差があると感じた。
それでも、私はアメリカにやってきた実感を楽しんでいた。誰も死ななくて良かったと思う。 |