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たかしの読書日記

 
2008-03-19

天国で君に逢えたら/飯島夏樹

カテゴリー: 日記
テーマは良い。癌を患った患者のメンタルケアとしての、手紙屋Heaven。アイディアは良い。しかし、手紙に特別な感情を持っている私には複雑な気持ちだ。

手紙とは高尚な告白形態だと思う。直接、口頭で言うのとはまた違った重みを持っている。なぜなら、手紙をしたためるには、途方もない推敲の繰り返しと、誤解のないようにと考慮する心遣い、また、自分の手を使って書く苦労が伴うからである。それを他人が代筆する。受け取った側はどう思うだろうか?内容、表現方法、文字の奇麗さは問題ではない。それは有名な野口英世への母からの手紙で明らかだ。どんなに稚拙で読み辛くても、心に響くものは変わらない。いや、そうだからこそ、心に響く。

また、死の間際に自分の過ちを告白するのも、私の美意識に反する。なぜなら、相手は、許すしか選択肢がないからである。そこで、許さないとは言えないであろう。ある種、暴力的告白である。それならば、あえて自分の胸の中にしまっておいて、旅立つのが優しさではないだろうか?

同名の著者をテーマにした映画が作られ、放映された。なかなか良い映画であった。

著者はすでに他界されたと聞いた。ご冥福をお祈りする。