私の会場をマダムが借りて昔からの顧客の結婚式をしている。ちょうど今、目の前で主賓が挨拶をしている。
新郎の友人達がサプライズで新郎新婦を祝う会を開きたいと、マダムに相談して実現した宴である。参加者の平均年齢は稀に見る高齢だ。…と言うのも新郎は2年前に病気を患い、今は車椅子の生活で年齢は70才を越えた大学教授であり、新婦はモンゴルからの留学生で39才だ。言わずもがな教師と教え子の恋なのだ。従って参列者には大学の学長、教授クラスが多いようで年齢が高いのも頷ける。
おそらく二人が知り合ったのは、新郎が病気になる前だと思うのだが、誰も二人の馴れ初めには触れない。
会費制の会で、料理も着席ビュッフェ、新郎新婦席には一輪挿し、各テーブルに装花はない。ご両人とも普段着だ。生演奏のピアノが宴に、ささやかな花を添えている。
大人の結婚式だ。そう…こんなシンプルな結婚式が素敵だと思える年齢になったようだ。
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