私は以前、女性ばかりのスタッフでウェディング関係の会社を経営していたことがあり、今朝当時の一番信頼していた部下から電話が入った。声を聞くのは10年ぶりだろうか? 懐かしさと嬉しさがこみ上げたが、彼女の声に陰りがあり、心当たりのない訃報を告げられるのではないかと腹をくくった。話を聞くと、思った通り…、いっしょに仕事をしていたヘアメイクの会社の女性社長の突然死を告げられた。私より一回り若かったから、まだ40才代だろう。若くして子供を抱え離婚し、その後再婚離婚を経験し、女手一つで子供達を育てていたように記憶する。もう彼らも成人したに違いない。 逝った彼女は、以前私に“将来は死化粧の仕事をしてみたい。”と言っていたことを思い出した。このたびの彼女の死化粧は誰が施したのだろうか? 明朝、大好きだった自宅から出棺するようである。私も陰から見送りに行こうと思う。 知らせてくれた元スタッフとは、明日出会った時に話せば良いと思い、余計な時間をとらずに電話を切った。 一度死にかけたことのある私は、死は、誰の場合にも音もなく忍び寄るということを、肝に銘じた。 |