夕方、道を歩いていたら目の前をトラ柄の猫が横切った。 顔を見たら目立つ傷が。 たぶん、野良猫どうしで喧嘩した時の傷だろう。 周りに誰もいなかったので、つい「おまえ、怪我したのか?」と。 するとその猫はとまって振り返った。 「なんだぁ、負けちゃったのか?」 じっと私の顔をみて、少し近寄ってきた。 手を広げて出すと、さらに寄ってきて、少し匂いをかぐ。 「駄目じゃん」というと一瞬私の目を見てそそくさと立ち去った。 たぶん猫は「この人は何かくれるのかな?」と思って近づいたのだろう。 でも私は勝手に「俺の言葉を聞いてくれたんだ」と思っている。 ちょっと幸せな勘違い。 |