「そろそろさぁ、付き合っても、いい頃とちがうかなぁ…」 「なんで?」 「だって、知り合って1年以上経つし、何度もデートしたし…」 「あなた、あの時、マイナスからでいいからって、言ったでしょ。」 「そうだけど、僕が君の事を好きなのは、伝わってるよね?」 「伝わってるよ。」 「君は僕の事、好きだったりしないの?」 「スキ……」 「えっ!?」 「何?」 「今、『好き』って言ったよね??」 「言ったよ。」 「もう一回言って。」 「……嫌。」 「好きだったら、付き合ってもいいやんか。」 「まだダメ、あなたは、また余計な事を繰り返すかもしれないから。」 「それより、もう一回『好き』って言ってよ。」 「ダメ」 |
「君に教えてもらった事を成立させたいんだ。」 俺が教えた事? 「『愛される為に生まれてきた』って…」 あぁ、それは俺達、悪魔の話しだ。 「悪魔?」 俺達のような負の生物は、愛から生まれてきたからな。 「愛から悪魔が生まれたの?」 俺達は憎まれる事で、愛を生む、創造物だ。 「僕は君の事を憎んだりしないよ。」 お前はまだ幼い。俺達がいなければ、愛は成立しないってことだ。 「憎まれる為に、僕に会いに来たの?」 憎むかどうかより、辛い事実を伝えにきた。 「悪魔は神様との契約で、嘘は言わないんだよね?」 そうだ。 「辛い事を伝えるのも愛なの?」 そうだ。それを伝えるのが俺達の役目だ。 「辛い事実か…」 愛を知らない子を、お前は愛している。 「なんとなく、気がついてはいたけど…」 本当に、それでいいのか? 「いいよ。他に彼女を愛し続けられる人はいないから。」 それなら、何故お前は泣いている? 「辛い事実なんだ…」 本当は愛がほしいんじゃないのか? 「今は愛を注ぐだけでいい。」 お前に伝えておくが、彼女は変わらない。 「彼女は、愛される事しか経験していないから、愛する方法を学んでないんだ。」 お前は愛する事ばかりで、愛される事を知らない。 「僕は、愛される事に幼く、彼女は、愛する事に幼い。」 お前達は、元々ひとつだからな。全てが正反対で当たり前だ。 「悪魔の君も、誰かに愛されたりするの?」 俺達も愛の一部だ。特定のモノに愛される事はないけどな。 「それなら、僕が君を愛してあげるよ。」 勝手にしろ、だが俺は、お前を愛しはしない。 「それって、無償の愛だね。」 言っただろ、悪魔は愛される為に生まれてきたんだ。 「僕は、その言葉の意味を理解したいから、彼女への愛を貫きたい。」 無償の愛は辛いぞ。 「君は悪魔だから、契約で人を励まさないのは知ってるよ。」 ∞§∞ † 俺と契約を結べ。 「何を、与えてくれるの?」 お前の辛さをとってやる。 「何を差し出せばいい?」 お前の一生を、彼女に捧げる契約をしろ。 2009年4月23日 |
そこには、大好きな君が僕の傍にいてくれますように…