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ユウキ日記

ありふれた日常を、感情のままに描ければ…

 
2009-04-23

契約の時

カテゴリー: 日記


「君に教えてもらった事を成立させたいんだ。」


 俺が教えた事?


「『愛される為に生まれてきた』って…」


 あぁ、それは俺達、悪魔の話しだ。


「悪魔?」


 俺達のような負の生物は、愛から生まれてきたからな。


「愛から悪魔が生まれたの?」


 俺達は憎まれる事で、愛を生む、創造物だ。


「僕は君の事を憎んだりしないよ。」


 お前はまだ幼い。俺達がいなければ、愛は成立しないってことだ。


「憎まれる為に、僕に会いに来たの?」


 憎むかどうかより、辛い事実を伝えにきた。


「悪魔は神様との契約で、嘘は言わないんだよね?」


 そうだ。


「辛い事を伝えるのも愛なの?」


 そうだ。それを伝えるのが俺達の役目だ。


「辛い事実か…」


 愛を知らない子を、お前は愛している。


「なんとなく、気がついてはいたけど…」


 本当に、それでいいのか?


「いいよ。他に彼女を愛し続けられる人はいないから。」


 それなら、何故お前は泣いている?


「辛い事実なんだ…」


 本当は愛がほしいんじゃないのか?


「今は愛を注ぐだけでいい。」


 お前に伝えておくが、彼女は変わらない。


「彼女は、愛される事しか経験していないから、愛する方法を学んでないんだ。」


 お前は愛する事ばかりで、愛される事を知らない。


「僕は、愛される事に幼く、彼女は、愛する事に幼い。」


 お前達は、元々ひとつだからな。全てが正反対で当たり前だ。


「悪魔の君も、誰かに愛されたりするの?」


 俺達も愛の一部だ。特定のモノに愛される事はないけどな。


「それなら、僕が君を愛してあげるよ。」


 勝手にしろ、だが俺は、お前を愛しはしない。


「それって、無償の愛だね。」


 言っただろ、悪魔は愛される為に生まれてきたんだ。


「僕は、その言葉の意味を理解したいから、彼女への愛を貫きたい。」


 無償の愛は辛いぞ。


「君は悪魔だから、契約で人を励まさないのは知ってるよ。」


    ∞§∞
   キラキラ
     キラキラ


 俺と契約を結べ。


「何を、与えてくれるの?」


 お前の辛さをとってやる。


「何を差し出せばいい?」


 お前の一生を、彼女に捧げる契約をしろ。


     2009年4月23日