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新人がいなくなってしまった。メール一通で、そのまま返答なし。 先日、出勤したら上司がネコのケンカのように毛を逆立てて飛び出してきて、「だめだあの子!」というので何事かとおもったが、事情を聴きつつなんとなく察知してわたしも仕事に入る。その間かなり厳しく注意がいったらしく、上司からフォローよろしくと回ってきたのでふたりでちょっと話した。 おそらくほぼ感覚で仕事をこなしてきた上司には、伝えきれないもどかしさもあるのだろうなとおもっていた。わたしは彼女とおなじようにどちらかというと頭で先に考えこんでしまうほうなので、とっさの判断が必要なときに身体が動かなくなってしまう気持ちはよくわかる。目を配る部分、対処法などあくまでわたしの経験上、という前置きで教える。 ただ彼女は、話してもすぐにメモを取るだけで終わりになってしまうことが多々あった。頭で理解したことを実践で応用するのを苦手としている様子は把握しており、これもそうなったらまずいなあとおもったので了承を得て研修期間のようにいっしょについてもらった。実践を見せるのはより技術の高い上司であるほうが良いことはもちろんなのだけれど、それによってお互いピリピリしてしまう可能性があるためだ。 ここまではよかった。と思い込んでいた。わたしもわれながら見事なフォローだとおもったけど、それは過信だったんだろう。彼女はその日のうちに再びとんでもない失敗をやらかし、わたしもかばいきれず上司は大激怒、結局それから出勤しなくなってしまったのだから。 彼女に教えながら自分が冷静でいられないことに上司はすごくへこんでいたし、彼女もまた精神的に追い詰められる悪循環になってしまうことを懸念して、こうなったら彼女をわたしに任せてもらえまいか、と覚悟して仕事に行ったらそれを聞かされたので、なんだかショックと脱力の一日だった。 しかしそんな状態になっても、わたしに夏休みを削ってくれという提案だけはしてこない上司に尊敬と感謝を。あとこんな状態でもきっちり夏休みはいただくっていうわたしの夏のバカンスにかける情熱ったらない。自分でもちょっとあきれる。 とはいえじつはいまも今日の件をひきずっている。帰宅して選挙公報を見ようとするも、ついサンリオ発行のいちご新聞を読んでしまうくらい。なんでそれがうちにあるのかはよくわからない。 |
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