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　どうも街の様子が変だ・・・

　そう思い始めた静かな夕方

　押し殺すような声で

　壁の向こうの狭くて薄暗い空間から

　小さな呼びかけがあった


　”逃げるしかない 町を出るんだ ”

　

　

　ビジターの時間帯

　住民は

　どうやら何らかの

　相互認識力の低下に陥っているらしい


　互いを目の前にする住民同士であっても
　
　その消失と消失の過程を

　意識の中に取り込めないらしい

　
　捕食者の周りには

　その認識抑制の波動が

　重く渦巻いている


　一部の

　異常に気付いた抵抗家によって

　緊急回避と子供たちの救出作戦が始まった

住民の時間帯

ビジターの監視は

どうやら直線的な視認と

嗅覚による

住民の移動起点察知となるらしい


そして

ビジターの影力は

現状町を取り囲む峠を

越える事は出来ない様だった


住民の時間帯に

ウサギ航法で山脈に近づき

物陰に潜んで

反撃と脱出の機会を探る


先に行なわれた

列車移動作戦は

駅を離れるにつれて

住民の認識から消え

峠間際で

その行動が消去された


なんとしても

ビジターの影力が増大する前に

次なる作戦を貫徹し

契約破壊へ持ち込まなければならい

ビジターの本来の姿と

弱点の一部が伝えられてきた