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お天気の中
通訳の女性に
連れて来られた
陸上競技場で
開催されている
中国市
見渡す限りの
屋台と買い物客
歩く隙間も無く
これが日本とは思えない
商魂たくましい商店主と
買魂たくましい来客衆
すごい世界だな
”こんな所だからきっと床屋だってある!”
そう言って
通訳は先にたって
探しに行く
”いやオレはいつもの床屋があるから嫌だ ”
通訳を勝手に行かせて
自分は会場の外に逃亡
形の傾いだ小屋の
土壁に寄りかかって
彼女が出てくるのを待った
”何してん?大丈夫か?”
ひとり
ぼんやり佇む自分を見て
心配しているのか
男性が話し掛けて来た
もちろん
知らない国の
知らない言葉
何を言っているのか
判らないけれども
そう言われた気がした
”なんでもないよ ”
手首を横に振ると
その男性は安心した様に
静かに去った
[通訳 早く出てこないかな]
そう思いながら
斜め向こうを見て
微妙なバランスの伝わる
壁の感触を半分楽しみながら
静かに息をした
”トヨタに中国はトラック周回で勝ったんだ!!”
今度は小柄で丸っこいオジサンが
早口で話しかけて来た
丸い肩に
白のTシャツ
黒ベルトのズボン
本当はランニング姿似合いそうな
そのオジサンは
全く屈託がない
そして
もちろん
これまた
何を言ってるのか
判らないのであるけれども
たぶん・・・
オジサンの嬉しそうな口元が
そう言っていた
確かにそうだ
そんな気がした
”トヨタはトランスアクスルのカバーから検出されたんだ ”
そうか・・・・
そんなところにも
影響があるんだな
オジサンの話は止まらないのであった
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好かれる事はまずありません