▲
▼
| 1 |
オレたちは大阪に行きたかった しかしその日 何もかものチケットが取れず オレたちはターミナルを行ったり来たり 。 そんなとき ふと一台の高速バスが目にとまり 運ちゃんに訊いてみた ”大阪行くの?” ”大阪行く・・・” 。 オレたちは スミレを育てるバンドだ マイナーで仕事は無い メンバーに営業の小林さんを伴だって オレたちはバスに乗り込んだ 。 オレたちの他に 数名の乗客を乗せたバスはほどなく走り始めた しかし運ちゃん飛ばす飛ばす!!! 細い路地をガンガン 民家の軒先に当たろうが平気 郵便配達の赤い軽自動車が狭い道に停まってる そのままではすれ違いができない バスはその郵便車に寄ると 止まる事無く押しのける 郵便車は路肩にひっくり返った 衝撃は感じなかった 配達中の職員が慌てて車に駆け寄るのが見えた 。 数名の乗客は寝ているのか バスの一番奥に陣取ったオレたちから見る 彼らの後ろ姿は動かずにずっと同じだった バスは高速に乗る気配は無く 周囲に暗い田園が広がり 遠くに町の光が見える 細くしかしまっすぐな一本道を疾走している ”こいついかれてるな・・・” 再度訊いてみた ”何処へ行くの?” ”田舎” 運転手から短い一言だけが返ってきた 。 メンバーと話をした ”機会を待とう” 。 。 世間を蹴散らすバスは停まる事を知らない けれども その時はやってきた さすがのバスも 前方の渋滞に停まる時が来た オレたちは右後方にある非常扉のノブを回した 道路の壁に近く扉は人間が抜けるだけの量は開かなかった 偶々いる通行人に声を掛けた ”このバスいかれてるんだ” 。 通行人は直ぐに理解した様子だった 世間には既に知れているのか・・・・ じきに余裕のある場所に動き オレたちは扉を開放した ”出ろ!出ろ!!” 乗客たちにバウムクーヘンを一片ずつ手渡しながら オレたちは彼らを車外に導いた 。 バスの前部から 警官隊が突入してきた 終始 運転手は無言だった。。 。 道端にスミレがあった ”今は花の時期じゃぁないんだな” |
▲
▼
| 1 |
好かれる事はまずありません