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2011-01-31 20:58:54

大曽根駅付近の不思議なお話し・その③

カテゴリー：絵日記になりたい

　大曽根駅から

　

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2011-01-31 21:00:14

大曽根駅付近の不思議なお話し・その②

カテゴリー：絵日記になりたい

　時は弌の月

　アルバイトが終わり

　大曽根駅での国鉄から名鉄への接続は

　息の弾む手足の運動が必要であった

　瀬戸線は準急

　いつもの時間の

　いつもの車両

　そして

　いつもの扉

　いつもの準急は

　いつも通りに混んでいて

　いつも入り口近くの

　北側の窓に向かって

　つり革を掴む

　時は弌の月

　名鉄瀬戸線に乗り込む頃には

　外の灯りは完全に夜

　窓から外を眺めながら

　そこに映る乗客の様相に

　あやふやな焦点をあわせ

　思うとも無い想いにふける

　
　いつの頃からか

　なんとなく

　右隣には

　いつも同じ女性が立っていた様な気がした

　窓に映る薄暗い彼女の輪郭に

　たぶん二人連れなのであろう・・・と

　そんな認識を持つ様になった

　女性が立っている様な気がしたのだけれども

　窓に映る不確かな面影と

　視界の端に少しだけ見えるその姿に

　なんとなくそんな気がしただけで

　まじまじと見る訳ではなく

　また見られる訳でもない

　女性であるとの確証は無い

　でも二人連れの女性である

　そう思うのであった

　窓に映る世界で

　無表情の視線を向けながら

　数駅が過ぎると

　隣の影の一つが去り

　また数駅過ぎると

　もう一つの影も去る

　何気なく過ぎる毎日であった

　そんな或る日

　大曾根の接続に手足の努力が追い付かず

　無常にも

　いつもの扉は

　ほんの目の前で満員の車内との

　冷たい隔たりとなってしまった

　後発は各駅停車

　初めて乗ってみると

　それはあっけにとられるほどの空き様で

　馴染みの無い座席にも招待された

　大曾根を出て

　次なる各駅に停まる

　扉が開いて

　右隣の影の一つがそこに現われた

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2011-01-31 21:03:00

大曽根駅付近の不思議なお話し・その①

カテゴリー：絵日記になりたい

　とある週末の昼前

　灰色の安い身なりをした青年が

　春日井方面行きの電車に乗ろうと

　国鉄大曽根駅のホームに立った

　休日だからなのか

　偶々その時間帯がそうであったのか

　ホームには人が疎らで

　大時計前のベンチに人影は無かった

　青年は時計を正面に見て長椅子に座り

　その長針が１０を過ぎようとしているのを

　ぼんやりと見上げ

　そして視線を落とした

　程なく

　一人の女性が直ぐ隣に腰を下ろし

　つとタバコに火をつけ

　フッーと長くひと煙吐き出すと

　問いを掛けてきた

　”今何時ですか？”

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