いよいよ「レッドクリフ2」が封切りとなる。三国志を舞台にした映画だが、前作「レッドクリフ1」ではなるほどと感じさせる場面が多く、珍しく足を向かう気にさせる。 まずそのスケールだろう。普段なじみの薄い大河周辺の風景は圧巻だ。 山水画で有名な桂林を思い出した。桂林観光というと漓江下り。左右に望む奇峰を見ながら観光船で河を下る。船着場に着くや否や目に飛び込んできた風景が焼きついている。まさに水墨画の世界だ。筆舌に尽くし難い。幻想的風景とはこうゆうもののことだろう。 いざ、遊覧船へ。当時の珍しい?体験談から。 船上から河沿いを眺めていた。「川べりにうつ伏せの人らしき姿が見えるのですが。」そばのガイドに聞いてみた。「ああ、あれは死んだ人です。」(変わった出来事ですか?のような受け答えに次の言葉が出なかった。) 昼食時のこと。船中で「すっぽん」を初体験した。ゴムの塊のようでなんとも味気がない。(本当にすっぽんだったのだろうか。) 終始ぼんやりしているうち、あっという間に船旅が終わった。 中国の広大さと4000年の長い歴史にある奥深さは直に体験しないと身に伝わらない。(余談だが、学生時分のこと。留学生に「中国3000年の歴史」と安易にいうと「中国の歴史は4000年だ」とよく怒られた。ファン君はどうしているのだろう。) 清最後の皇帝溥儀の物語である映画「ラストエンペラー」。北京の紫禁城(故宮)舞台に撮影されたが、世界最大の宮殿と言われるだけありちょっとした城の比ではない。ぐるっと回るだけでも大汗だ。文化遺産云々よりまず移動が大変だ。 (因みに中国側の文化遺産は台湾の故宮博物館の方にかなりの文化遺産が持ち出されたとされている。) また教科書で馴染み深い兵馬ようこう。所狭しと掘り当てられた一連の兵馬像(よう)には圧倒される。 当時、周りに露店が並ぶ中、しつこく「扇子10本が1000円、まけて20本が1000円」と売り込んでくるのがいた。(どこに行っても同じようなことがあった。) シルクロードならぬ絹生産が盛んだけあって、絹製品が意外と安かった。露店でシルク製のシャツを1枚買ったのを覚えている。安かったが手触りが良かったのでまんざら偽者ではなかっただろう。 中国では買い物では注意しないといけない。隙あらば騙そうとする。 規模、集客数いかんによらず観光店は当てにならない。よく目に付くのが掛け軸。日本人がお土産にと買いだめする人がいる。いくら値切っただの何本買ったのだの。 日本語の話せる学生がいて雑談がてら色んな事を聞いたことがあった。彼によると観光店に置いてるものは大抵、寺かどこかでアルバイト学生が描いてるものが多いらしい。自分も経験あるとのこと。ちゃんとしたものは展示会などで求めた方がいいとのことだった。 また、とある観光店でのこと。 横にいた人が硯を購入していた。ショウケースに陳列される中から望みの一品を選び、まさに買おうとしたときの出来事。店員がケースの上で現品を確認。客が頷くと一段下の台で包装し前に指し出した。今一度買うのをためらったのか、店員の手元の動作に不信感を覚えたのか定かでないが、包装を解かせていた。中を見ると安い別物だったらしい。 文句を言って再度包装させる。店員は何もなかったように嘲笑しつつ再包装する。客も今度はじっくり監視していたようだが、相手の言うことを守るなど悠長な考えは通用しない。店員にもう一度包装を解かせ中身を確認する。案の定別物だ。まるで手品を見ているようだ。腹に据えかねたのか、そこの責任者らしき人を呼びつけ自分の目の前で包装させ無事完了。(当人には悪いが、傍から見ている分は喜劇のようで面白かった。) こうゆう事は程度の差あれ、多くの国では起こりうることだ。セキュリティ面しかり。 他人を簡単に信用するなど感情的に物事を考えがちなのは、ある種日本人の美徳である。だからといって、「まあまあ・・」、「たぶん・・」などと都合の良い解釈をすると痛い目にあう。こういう点は日本人が脳天気とされるだけだ。もちろん騙し盗む側が悪い。しかし、被る側の意識の低さ、隙は当人の責任である。 このような場面に出くわすと「危機管理」にもっと意識を向けるべきだとつくづく思う。 ついでに一言。 世の中にいい話などほとんどないと思っていい。人が利益に繋がる話を簡単に他人と分かち合おうとするだろうか。 兎に角、自分自身で充分確認・納得することからだと思う。 |