あるところに女の子と兎さんがいました。 二人は直接会ったことはないけれど、お手紙交換をしているお友達です。 白ヤギさんが届けてくれる兎さんからのお手紙は、女の子をとても幸せな気持ちにさせました。 ある日届いたお手紙には たったヒトコト 『あなたが好きです』 女の子は急に怖くなりました。 何故なら女の子は自分をあまり好きではなかったからです。 本当の自分を見せることが怖かった。 それから 女の子が兎さんにお返事をすることは、決してありませんでした。 月日が流れて 女の子は少し大人になりました。 ある日、お掃除をしていて見付けたお手紙。懐かしい兎さんからのお手紙。 それは女の子に嬉しさと、切なさと、自信を与えてくれるものでした。 だけど女の子は兎さんに会いに行こうとはしませんでした。 優しい兎さんを 優しい兎さんの気持ちを 信じられなかったあの時に、きっと終わってしまったのだと分かっていたからです。 二人は別の路を行きます。 だけど心には交わした手紙。 これもひとつの恋なのかもしれません。 |