はよ~
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登山をした
人型登山ロボットも一緒だ
彼の武器は
両手に持った杖
なだらかな内は
その杖を大きく振り出して
人には出し得ないトルクで
跳ねるように登って行く
傾斜がきつくなると
杖の側面全体で斜面を捉えて
張り付いて登って行く
杖の上部から出た爪も武器だ
頂上に着いた
少し雪が固まっている
おばちゃんたちが
雪の垂直坂を
次々と降りていく
せっかくだから
体験しなよ
そのお勧めに
垂直坂に手を掛けて
身を乗り出そうとしたら
雪がペロリと落ちた
”あ~残念だったね ここは今年もう終わりだ ”
赤い着床ネットだけが
雪の剥がれ落ちた垂直坂に残ってる
”後は千代坂に雪が歩けど 向こうは深いからなぁ~”
たぶん小屋を過ぎたところにある千代坂は
落ちたらそのまま下界行き
こっちの垂直坂は
落ちても脚が届くから
雪坂降りの体験には
ちょ~どいいのだそうです
雪坂下りが出来なくなったので
取っ手鍋を洗濯しよう
みんなで長年使い込んだ
万年汚れが
鍋地を隠している
せっせと拭いた
ほらちゃんと銀色が見える
アルミニウムだけどね
ちょっとぬるぬるするね
洗剤使おうか?
百貨店に行った
新しい家に並べる本を買うんだ
あれにこれにと
一緒に行った人に渡す
君は妹?嫁?
まぁ
なんでもいいや
手分けして本を抱えて
ベッピンなおばちゃんの後ろで
レジに並んだ
”次の方ど~ぞ ”
一つ手前のレジにおねぇさんが来た
動こうとしたら
”違うでしょ あなたは次の次 ”
番が来て
レジテーブルの上に
脇の本を置いた
ひときわ厚いのは
フロア~備品のカタログ資料だ
”あ~これは売り物では・・・”
そう言われる前に
おねぇさんを口説いてみた
”貸してよ 借用証文書くから ”
幾らくらいになるんだろう?
お金持ってないけどね
レジの直ぐ左手にあるエレベ~タ
そこに
体格のいい
水色の軍団が現われた
”院長先生組みよ あなたも仲間になったら?”
レジが言う
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好かれる事はまずありません