山に登って自分だけの世界にひたりたいのに ありゃ、今日はホント人が多いこと。 家族連れも多いしカップルも多いし みていてイライラしてしまう。 独りの世界を邪魔されるようで。 すれ違いの際に街で「こんにちは」なんて 言うだろうか。 都会では言わないのに 山の中では何でそんなに言うのだろうか。 山の静寂さの中に身を溶かしていたいのに。 面倒くさいので ヘッドフォンをしているので もう全部無視することにした。 頂上に登ってももう座る場所もないほどに 家族連れは多い。 半袖で登ってきたのに 頂上は意外と寒いのだ。 風が下から吹いてくるから。 この連休中に滑落して死んだとか 福岡県の職員だそうだ。 ありえることだ。 普段と違って混雑しているし 普段と違う神経を遣って ちょっとした油断で 滑落したのだろう。 近くの安全な山でも こうも混雑していると おちおち頂上でゆたりと 休んでいるわけにもいかない。 下山をしてみたが 新たなルートを発見をした。 こんな近道があったとはな。 この前迷ったところから かなり近い場所である。 今日一日だけで 30kmくらい歩いている。 背中のリュックにいれた チョコレートは溶けて 変形している。 なんか ボストンマラソンの テロの容疑者の気持ちが わかったような気分だ。 なんで自分だけ こんな目にあうのだろうか。 心の疎外感が起こしたのではないか。 平和な家族連れの中で 自分だけなんか もがいているような。 そんな気分の登山で なんだか悔しくなってきて 下山は走ってみた。 なんだか気分が晴れやかである。 日差しがきつい。 もう初夏だな。 これからの季節は また山の季節だ。 途中の展望台で ツアイスや スワロフスキーの 双眼鏡を首からかけて 野鳥を見ている人たち。 さりげなく 20万円の双眼鏡か。 見て見ぬフリをして チラチラと気づかれないように 観察をして 登山道を登っていく。 自然観察には お金が必要なんだな。 フン。 ショーケースの中でしか 見たことないけれど 現実に使っている人がいるのだ。 そういう人たちが 山に集うのである。 高等遊民。 家族連れ。 どちらにも属しない自分。 双眼鏡は対象を拡大して 見えるだけ どんなに高価な双眼鏡で拡大しても 心のありようが見えるわけでない。 自分のこころは、 自分で掘り下げていくしかない。 |