【プロローグ】 私の名は幸彦。 男ばかりの職場に就職してから出会いのない私は、気がつけば40才になっていました。 出会いを求めネットを彷徨っていると、ある出会い系サイトが・・・・ 無料お試しもあるので興味本位で登録をしてみた。 【出会い】 12月18日サイトに登録し翌日になると5通のメールが来ました。 メールを開封するとすぐ会えませんかが3件、話がしたいが2件 どれにも返信せず5日が過ぎた時話がしたいの2件が連日メールを送ってきていた。 その2件とは27才の美幸と18才の睦。 23日土曜日で仕事が休みだった私は初めて返信をしました。 先ずは美幸に・・・・ しかし、半日経っても返事がないので今度は睦に返信しました。 睦からは程なく返信があり、話し込んでいると美幸からの返信が・・・・ 睦はケーキを作っていたらしくケーキの画像を添付してきた。 ケーキが大好きな私はケーキの話を、また睦はパティシエを目指しているらしい。 美幸とは趣味が合い、私のお城めぐりに対し美幸は仏教寺院の鑑賞をしているとの事。 2人とは話が尽きず気がつけば朝を迎えていた。 24日・クリスマスイブ 日曜日と言うこともあり、一緒に過ごす彼女のいない私は美幸と睦と話を続けていた。 その後も2人とは毎日にようにメールで話すメル友になっていた。 それは「おはよう」から始まり「行ってきます」、「お昼は何食べたの?」、「今日は何時まで仕事?」、「仕事終わったよ」、「ただいま」、「夕食は?」、「おやすみさい」と言った具合。 2人と話していても私の心は明らかに大人びた美幸に傾いていた。 【美幸】 美幸は音楽系のイベント会社に勤めるキャリアウーマン。 有名人が来るイベントを切り盛りしているそうだ。 美幸とは趣味が同じで会話が弾み、朝まで話したこともしばしばあり、いずれ一緒に旅行しようと言う話もしました。 最初のメールから1ヶ月が過ぎメール送信数も1000通になるころ、 私は初めて「そろそろ会わないか?」と切り出しました。 美幸は「もう少し待って・・・」 美幸から少し重苦しい雰囲気を感じ取った私は「1ヶ月後には会おうね!」と言うと「うん」との返事。 それからは「会おう!」と言う言葉は発せず今まで通り毎日会話を弾ませました。 【睦】 睦はこの春高校を卒業し実家を出て単身こちらに来た未だ未青年。 睦との会話は美幸と違い、いろいろ教えることが多かった。 社会での振舞い方、人との付き合い、風習など・・・ 睦からすると私は、兄や父のような存在なのかもしれない。 ある時、「何故、実家を出て1人暮らししてるの?」と聞くと 永い沈黙の後彼女が語り始めた 「私のお父さん、いないの・・・・・」 話を聞くと睦のお父さんは幼い頃病死し、お母さんが女手1つで育てたそうです。 そんなお母さんに新しいお父さんが出来、2人をそっとしてあげようと想い、また将来パティシエを目指したいことから単身家を出たらしい。 私はその話を聞いて目頭が熱くなり睦が愛おしくなりました。 そんな彼女をこのままにしてはいけないと思い、本当の事を言おうと決断しました。 私は初めて睦に「私は睦以外にもう1人の女性とも話しをしている。 私の心は睦ではなく彼女に傾いている。だから睦とはメル友以上にはなれない。」 すると睦は「知ってたよ。だって幸彦さんみたいな男性が子供みたいな私とは釣り合わないもんね。幸彦さんの心の中に僅かでも私への気持ちがあったならそれで・・・・」 更に「私は幸彦さんとお話ができればそれでいいの。これからもお話してね。」 私は愕然とした。 睦が怒り罵声を発するとばかり思っていたのにそんな事を・・・・ 私の気持ちの中で睦への想いが膨らんでいくのが判った。 しかし、私の心の大部分は美幸に傾いている。 【美幸との別れ】 時が経ち、あれから1ヶ月が近づこうとしたある晩、私は美幸に「あれから1ヶ月が経ち、話し始めてから2ヶ月になる。そろそろ会わないか!」 それから美幸からのメールが途絶えた。 数日後、仕事中に美幸から突然メールが・・・・ 「父が・・・・」 内容の判らないメールだったので休憩時間にメールすると 「父が仕事中に倒れてしまい、今病院にいます。不安で不安で仕方がないの・・・」 私は仕事の合間をみては彼女を励ますメールを送り続けた。 その晩も次の日も「お父さん、きっとよくなるから、安心して・・・」と美幸を励ますメールを送り続けた。 数日後、美幸からメールがあり 「幸彦さん、いろいろありがとう。父の危篤状態はだっしましたが、もう仕事もできない体になってしまいました。 そんな父がいる私は幸彦さんと今後の事を話できる立場にはありません。 これまでありがとうございました。私よりもっと素敵な女性と巡り会って下さい。さようなら・・・・」 美幸からの突然の別れであった。 それ以来美幸とは連絡がつかなくなってしまいました。 |