昨晩もマダムの店で珈琲を飲んでいたら、8年前のほとんど同じ時期に私と同じ大動脈解離になった男性がやってきた。彼は一回り上の私の病気友達である。 私は人工動脈に置換する手術をしたが、彼は少し症状が軽かったものだから、今まで投薬治療だけで過ごしている。術後私は大きな病もなく健康に過ごしているが、彼は前立腺癌も患い、あまり健康だとは言えない。 私には彼が死を恐れているように見える。 そんな彼に私は、何故人は生きるのか?死ぬということはどういうことか…などと語って聞かせる。そうすると分かったと言って少し元気をとりもどすように見えるのだが、しばらくして出会うと、また不安そうな顔をしている。それでまた同じことを話して聞かせる。 生きる意味など人は考える必要がなく、死後のことなど知る必要がないのだと、いつも思わずにいられない。 |