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SOLILOQUY

ひとりごと

 
November 14, 2014 11:43:34

挨拶

カテゴリー: 日記
通夜はマンション1Fの集会所の座敷でささやかに行われた。私が場に入るなり昨日のご主人が、近づいて来て、“ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。顔を見てやってください。”と棺に招かれた。私はドキッとしたが断ることもできず覗き込んだ。まだ若く、美しく死に化粧された顔があった。“当日、私の家に帰省していて飛び降りたんです。まだ36才だったんです。”と、ご主人が言った。勿論私は娘さんもご主人のことも何も知らないのだから、話を合わせるだけだった。

通夜がはじまり、例によって前列に両家の両親と亡くなった娘さんのご主人が座った。通夜の読経が終わり、最後に娘さんのご主人が挨拶に立った。“本日は、お忙しいなか妻のためにお集まりいただき、有り難うございました。妻は36才で逝ってしまいました。あまりにも短い人生でした。みなさん妻のことを覚えてやっていてください。”…それだけだった。

私は、なにか心に引っかかるものを感じながら式場を後にした。
これで一つの区切りがついたと自分に言い聞かせた。