国内唯一足を踏み入れたことのない県、沖縄だった。 海?何処にでもあるし沖縄の海を特別に見ようという気もない。悪意はないが訪れる理由(目的)が見つからない。 そんなとき沖縄マラソン募集との広告が目に留まった。 20代までのころとは違うものの、体力はまだまだとの思いがあり自分の限界を知りたいとの衝動から、またも無謀な申し込みをしてしまった。 もちろんやったことはない。今度ばかりは野垂れ死にするだろう。 しかしそう入ってられない。毎日帰宅すると近くの公園(トラック周りを犬の散歩、健康歩きの人がちらほら)で夜遅くまで黙々と走る。 ちょうどひと月半しかない。時々、20~30km走ることもあった。 いよいよ本番当日が近づいてきた。ところが急に無理したせいか左足の裏に痛みがはしる。(3、4日安静にしよう。) 沖縄へは前日入りし少し観光しよう。バスで首里城へ行く。思ったほどの大きさではなくこじんまりしている。艶やかな民族舞踊をみて帰る。 いよいよ本番だ。今のところ足の具合は何の問題もない。エントリーカードをみるとNoが12000番台。並ぶと後に10数人しかいない。いくら初マラソン・他県者とはいえ虐げられ過ぎではと思いつつスタート。 こうなったらスタートダッシュだ。側道を縫うように前へ前へ。 勢いだけで中間の20km地点500番内ぐらいに入ったようだ。そこからエネルギー切れの上、左足に痛みが走り出す。どうしようやめようか。 側道沿いにはボランティア、住民の励ましが響く。黒砂糖、水、栄養ドリンク、レモンなどランナーに差し出す。中には民俗音楽で声援する人々。 (なんて暖かいんだろう) 体力はまだありそうだが足がついてこない。もうやめようか。何かゲートらしきものが見えてきた。米軍の嘉手納基地だ。中に入ると米人が脳天気そうに自分たちで盛り上がっている。(そう見えるがきっと彼らなりに純粋に声援しているのだろう。) あと7、8キロだ。もう足は半分引きずった状態だ。横に人影と思うとすぐに前の背中が遠ざかって行く。そこへ1人の少女が。すれ違いざまにファイト! 根が単純なので勢いが復活するも、悲しいかな「ファイト」は100mしか続かなかった。 それでもだましだまし意地のゴール。 前半の貯金のおかげで2000番台で終了。証明賞をもらい、ボランティアのマッサージ(まさに至れり尽くせり。ありがとうございました。) 前日の夜からバナナとチョコしか食べてなかったので、麺屋で名物のソウキそばを食し、居酒屋でチャンプルに舌ずつみを打つ。(ちなみにソウキそばと沖縄そばの違いを聞くと豚の角煮?があるかないか差だそうだ。) その後も冬になるとマラソンのエントリー案内がきていたが、満足したので以来行ってない。 |