私が子供の頃、『8時だよ、全員集合!』が全盛期でした。 しかし一方で、PTAからは子供に見せたくない番組とも言われていました。 今のテレビ番組はどうでしょうか。 所謂お笑い番組やバラエティーはあまり見ないので、中身についてコメントはできませんが、数は当時よりも圧倒的に多いのではないでしょうか。 その一方で、PTAが子供に見せたいと思うような番組は、ゴールデンタイムからは駆逐されてしまったように感じています。 フランダースの犬、アルプスの少女ハイジ、ラスカルなどをやっていたアニメの名作劇場。まんが日本昔話。すばらしき世界紀行(うろ覚え)。などなど。 いたずらに昔はよかったという気はありませんが、今放送されている番組で、数十年後に名場面集に出てきそうなものはあるのでしょうか。「クララが立った!」とかみたいに。 放送局はCM枠をスポンサーに売るのが商売ですから、視聴率を上げて宣伝効果を上げることで自社CM枠の商品価値を高めるというのは、企業活動の方向性として理解できます。 しかし、易きに流れるのが人の性。視聴率を上げようとすれば、理念を捨てても娯楽を採ることにならざるを得ず、他社との競争とマスコミの煽りの中で、視聴者に媚びる番組作りに傾いて行ったのではないでしょうか。 思えば、フジテレビが「楽しくなければテレビじゃない!」と開き直ったあたりがターニングポイントだったような気がします。 今、そのターニングポイントの頃にテレビを見ていた世代が親になり、社会に出ています。 昨今言われる「日本人の劣化」にはテレビの影響がかなりあるのではないかと私は見ています。 テレビが易きに流れれば周りの人々も易きに流れる。そうすれば自分も安心して易きに流れることができるわけですから。 今の傾向が続けば、いずれ日本人は取り返しのつかないところまで劣化するのではないかと危惧しています。 ではどうしたらいいか。 テレビ番組に、視聴率以外の評価尺度を導入するべきではないかと考えています。 番組の「質」を第三者機関が客観的に評価するなどです。 日本人が好きなのはステータスとブランド。 その番組を見ることが自分のステータスとして認知されるような仕組みを作ること、そしてスポンサーは質の高い番組を提供することがブランドイメージの向上につながるようにすることでしょうか。 前掲の番組で言えば、世界名作アニメはハウス食品、すばらしき世界紀行は日立でした。あとはカルピスのムーミンとか。 良質な番組を視聴者が見たいと思い、企業が提供したいと思えるような仕組みを作ることができれば、今の流れを変えることができるかもしれません。 こういったことを考える人は他にもいるでしょうし、具体的に活動しているところもあると思います。 デジタル放送では視聴者側から情報を送ることも可能なようですから、視聴者の評価を広く集めることで実現できるかもしれません。 とはいえ、数年オーダーで実現されることとは残念ながら思えません。 ではどうしたらいいか。 結局のところ自分の身は自分で守るしかないでしょう。 家庭の中で子供に見せる、あるいは一緒に見る番組を親がきちんと選ぶ。 社会の流れを変えることはできませんが、そんなことから始めるしかないのかもしれません。 私としては子供には本の好きな人になって欲しいと思ってますが。 |