その花は お花屋さんを飾るような色とりどりの綺麗な花ではなく たぶんあまり目立たない ひっそりと道端に咲くような花でした。 弱く脆く 風に吹かれては折れそうになり 雨に打たれては花びらを散らしてしまいそうになりながら それでも一生懸命咲こうとしていました... 薔薇のような美しさも チューリップのような明るさも 向日葵のような眩しさも 霞み草のような可憐さもないけれど たったひとりのために咲きたいと その花は願っていました。 ある日唐突に 花は生きる意味を見付けました。 絶えず傍で ひっそりと こんな自分を好きだと 足を止めてくれた人のために その人のために咲きたいと 花は生まれた意味を知りました。 『どんな花も世界にひとつだけ 君も世界にひとつだけで 僕にとっては世界でいちばん だから僕の傍で咲いててよ』 その花の名前は‥‥ |