「GODZILLA」といっても映画じゃない、今日はゴジラ・マツイだ。 ニュースではホームランの映像のみ見せられそれまでの投手と打者の駆け引きまでは見られない。 そこでワールドシリーズの優勝を決めたといっていい松井の打席を詳しく見てみよう。 対戦相手フィリーズの投手はペドロ・マルティネス。 かつて大リーグ最高の投手といわれた現在219勝のベテランである。 気性の荒い性格で死球を与えることも多く、過去には抗議のためにマウンドに駆け寄った相手コーチを首投げで地面にたたき落として返り討ちにしたほど。 このシリーズでは2戦目の対戦で内角低めの難しいコースを決勝ホームランして松井としては絶好調であり苦手意識はなかっただろう。 では第一打席から。 ノーアウト、ランナー一塁での登場。 初球は見送ってストライク。 2球目があわやホームランかというライトへの大ファール。 地元ヤンキースファンの大歓声とため息が。 3球目、顔付近にきたボール、思わずのけぞる松井。マルティネスの威嚇だろうか。 4球目は外にはずすボール。 5球目もあわや長打コースかと思わせる一塁線ギリギリの痛烈なファール。 6球目ストライクに近いきわどいコースであったがボールの判定。 これで2-3のフルカウント、観客はみんな立ち上がり場面を盛り上げる。 7球目はライト方向へ大きなファール。 ここで投げにくいのかマルティネスが一塁ランナーにけん制球。いっせいにブーイングだ。 8球目、真ん中近いストレートをとらえるとライトスタンド2階席まで飛ばす大ホームラン! 打った瞬間に両手を挙げて喜ぶファンとベンチ、球場が沸くなか松井はクールだった。 2打席目は2アウト満塁という最高の見せ場での打順。 1球目はやや振り遅れたか後方へのファール。 2球目はタイミングを合わせたがライト線をわずかに切れるヒット性の当り。 惜しいファールにスタジアムからため息が漏れる。 3球目マルティネスは外角のボールぎみでようすをみようと投げたのか、しかし積極的に打った打球はセンター前のクリーンヒット! 2人がホームに帰るタイムリーとなりこれで今日4打点目。 さぁ、第3打席は1アウト、1、2塁で投手はマルティネスをKOしてすでに3人目に交代だ。 ピッチャーも投げにくそうなのか敬遠ぎみの投球になる。 初球、2球目ともボール。 3球目もボールくさいがストライクのコール。 4球目もボールでカウント、3ボール1ストライク。 5球目、高めの変化球を痛打! 打球はライトフェンス直撃の2点タイムリーだ。 もはや手がつけられない。 これで1試合6打点、ワールドシリーズでの1試合で6打点はタイ記録だとか。 残念ながら第4打席はハーフスイングでの三振で新記録は逃した。 だがこの打席の松井への大歓声、MVPコールはすごかった。 今日は松井の両親もスタンドで観戦していたらしい。 しかし松井に声援をおくる観客もまさか隣に両親がいるとは思うまい。 ヤンキースとの契約が切れる来年は退団もささやかれるがファンは残留を願うだろう。 試合後のニューヨークの新聞は「マツイの活躍はモンスターだ」という見出しで報じたという。 まさにゴジラのような怪物ぶりを世界に見せてくれた。 |