国連報告「地球は既に限界点」
UN warns environment is at tipping point
気候変動と環境破壊は予想以上に加速しており、もう後戻りできないかもしれない
地球の気候変動が臨界点に近づいていると、国連が最新の報告書で警告した。
約600人の専門家が携わり3年をかけてまとめらた報告書は525ページに及ぶ。専門家らは地球の未来について極めて暗い見通しを示した。北極などの氷床の融解、アフリカの砂漠化、熱帯雨林の森林破壊が、私たちが想像しているよりはるかに急速に進行していると指摘した。
歴史的に見れば、氷河期など地球に突然大きな気候変動が訪れたことはある。だが専門家らは今回の気候変動は自然要因のものではなく、人為的な要因によるとみている。人間活動に伴う温暖化ガスの排出などが変動を加速し、影響は地球の生態系の破壊にまで及んでいるという。
ネイチャー誌に掲載された報告書の要約にはこう書かれている。「人為的要因により、気候変動が限界点に迫っている、または既に限界点を越えてしまった地域がいくつもある。一度限界点を越えると、もう元には戻せない変化が起こリ始め、地球上の生命体も影響を受けるだろう。人間の生活や健康にも大きな悪影響を及ぼす可能性がある」
「今世紀の終わりまでに、この地球が現在とはまったく異なる環境になっている可能性は極めて高い」と、報告書に携わった専門家の1人、アンソニー・バーノスキーは科学ニュースサイト「ライブサイエンス」に語った。
人間が生き方を変えるしかない
「窮地に追い詰められた」人間は、環境の変動に適応するために急激な生活の変化を余儀なくされるだろうと、バーノスキーは言う。ただし生活の変化には「相当の困難を伴うため、政治紛争や経済危機、戦争や飢餓が起きやすくなる」
科学者たちは希望を失ったわけではない。国連環境計画(UNEP)のアヒム・シュタイナー事務局長は記者会見で、今回の報告書を「告発」として受け止めるべきだと語った。
「この報告書で指摘されているように私たちは無責任な時代を生きている。(この種の報告書が初めて発表された)1992年にも、将来起こり得る変動が指摘された。それから20年後に発表された今回の報告書では、予測された数々の現象が現実になったことが証明された」
人類はもう「生き方を変える」より他に選択肢がない地点に来たのだと、スタイナーは続けた。「針路を変えることは可能だ。違う方向に向かうことはできるはずだ」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/06/post-2575.php
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