○北のおっちゃんは田んぼの真ん中のプレハブ小屋で国家機密をこさえている。 スペースシャトルの計器盤の針の軸になる部品らしい。 もちろん材質から長さ重さに至るまで全て機密だ。 でも、田んぼの真ん中の掘っ立てプレハブ小屋で今日も無造作に旋盤を回して、 油と鉄くずにまみれながら零コンマ何ミリの針金を削っている。 そのあまりに精密で完璧な仕事ぶりに、製品はミサイルや兵器の類なんかの部品にも流用されるらしい。 まさに国家機密なのだがおっちゃんにはそんなことどーでもいいことらしい。 震災で神戸を焼きだされ、数十年ぶりに故郷のうちの隣村に帰ってきて、 そこで仕事を再開した。 最初見たときにはやつれ果ててて、『どこの貧乏神が来た!?』みたいな顔してたけど、 最近じゃすっかり落ち着いたというか、トシをとって、 まるで『バカボンのパパ』というか、赤塚不二夫そっくりな顔になってる。 でも、その精密で完璧な仕事っぷりはまさに『昭和の職人』なのだ。 1000分の2ミリを削って調整し、どんなコンピューターでもかなわない精密な部品を作り上げる技はもはや世界で数人しか持ちえていない凄まじい技術だろう。 そしてその同じ部品を寸分狂わず何万個と仕上げる。 国のどこかの研究施設にいてもおかしくないような素晴らしい技。 でもおっちゃんは今日も田んぼの真ん中のプレハブ小屋で、 お昼は奥さんの手作り弁当を食いながら、 油と鉄くずにまみれて国家機密を作り続けている。 御歳74歳。 ・・・今日もいい天気だな、 少し肌寒いけど。 保険の募集はがき書いてます。 他にもパンクしたタイヤの修理とか、こまごました用事が積もってます。 保険の継続の募集電話もかけとかなきゃな。 うちゃあ新規なんてほとんど募集しないし。 明日は新商品の大量発売日か。 こわいなぁ~~~~。 来週あたり車検の仕事が入ってくれると良いのだけどなぁ・・・。 |