夜の雨のバス停でおばあさんが ひっくりかえっている。 横には女子高校生がいるけれども ひっくりかえっているのを見ても 手助けは出来ないようだ。 知らんふりをしていったんは 通り過ぎたけれども この雨の中、このまま倒れたままで ゆきずりで明日の朝になったら 死んでいたなんてなっていたら 嫌であるし 通り過ぎてから Uターンをして取り合えず ひっくりかえっている状態から 立て直すように介助したけれど 介護士の資格をもっているわけでもないし 普段から年寄りと交流しているわけでもない。 どうも状況からして 補助車を押して歩いているうちに つまずいて転んだようだ。 昭和6年生まれというから 83歳か。 この年の頃の女性は 骨粗鬆症であるから 転倒して大腿骨が折れてしまえば もう一生寝たきりになってしまう。 転倒というのは怖いことなのだ。 介添えをして 小雨の中を近所のマンションまで 送っていく人の良い自分である。 しかし信号で渡っているさいに まあ歩くスピードが遅いこと。 車に跳ねられそうだ。 怖い。 とにもかくにも雨の中を 介添えをしたけれども 普通だったら知らんふりをしていくけれども 可哀想だったのだ。 ふだんは何もしないけれども 年をとってしまえば 自分もどうなるかわからない。 この83歳の老人が言ううには バトミントンを近所の小学校で 練習した帰りだという。 このおばあさんが バトミントンなんか出来るのか。 羽根突きならば出来そうだが。 夜の8時過ぎに 深夜徘徊は 補導の対象になるのは 小学生だけではない。 高齢者も 徘徊しているから 事故があったら大変だ。 無事に家まで届けたのは 親切心からであるが これが「財布を盗まれた。」とか 言われたらややこしいから 本当は助けないのがいいのかもしれない。 その時は、「一緒に探しましょうね。」と 優しく答えないといけないのだ。 とにもかくにも 親切というのは難しいものであるから。 来週くらい新聞に載るかもしれない。 雨の中を助けてくれてありがとう。 おかげで助かりました。 名も言わずに立ち去っていった 格好いい男の方でした。 なんて載ったら どうしようかいな。 家族がお礼にきてみたら 頭がハゲかかった おじさんやったと。 |