肌を滑る涼しい風を感じながらゆっくり寝ていたい気持ちを抑えながら体を起こし顔を洗い、車を走らせいつものように青に逢いに北に向かった。 街並を抜けて、木々の間を抜けて、国道を進んでいくと、赤いギターだけを乗せた誰もいない助手席の窓の向うにコバルトブルー、アクアマリン、薄黄緑、光を弾きながら濃淡鮮やかに分かれた青が顔を覗かせてきた。 季節の移り変わりを感じさせる淡く色褪せてきた空の青、季節の移り変わりをまだ拒否するかのように自己主張する海の青、そして頬の上を反射する光に目を細めた。 青の向うに視線を投げると、陽の出まで降り続いていた雨が目に見えない小さな雫となって七色の幸せをプレゼントしてくれた。 何気ない日々のなかの何気ない景色、何気ない変化を感じる心をいつまでも大事にしていたい。視界に飛び込むコントラスト、まだ鳴きやまない蝉の声、遠くで形を変えてゆく雲が慌ただしく流れ、僕はアクセルを緩めた。 |