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日々精進

自己啓発と努力の日々

 
2010-10-14

宮内庁御用達

カテゴリー: 法律
昨日から日付を跨いでやっている
テレビ朝日の情報バラエティ番組である「シルシルミシル」で
『宮内庁御用達』についてやっていた

その昔、トリビアの泉でも似たような内容をやっていたが
いつの時も放送時間の関係で中途半端に詳しくない情報提供で
こうした番組の放送直後は番組内容まるまる受け売りの
知ったか振り風情が巷に溢れることになる

子どもの頃から気になったことや分からないことは確かめたがる
性格だったために、大人になってからは、この手の情報知識関係の
番組を見ても「成る程」とか「ヘー」とか思うことが殆ど無い

むしろ間違いや調査不足、情報不足、説明不足が気になる場合が多い

制度自体が明治時代のもので昭和29年には廃止されているので
勝手に名乗っているだけで全く納入実績のない全くの詐称である
悪徳業者からいわゆる過去の栄光にしがみつく本当のお墨付きを
持っている(た)老舗業者まで含めて、現在では法的根拠がない
ということでは「自称」であることに変わりはない

しかし、本物はそのことを自ら名乗ったりひけらかしたりはしないし
品質に裏付けられるからか、宣伝に利用することも殆どしないと言う

そうするとメディアが紹介する場合は別にしてパッケージなどで
宮内庁を宣伝に利用しているのは、むしろ後者であると思われる

単に納入実績があるだけではお墨付きは与えられなかったから
過去も現在も「お墨付き」を貰った事のない、持った事実がない業者が
「お墨付き」を謳えば真っ赤な嘘になるが、逆に過去に本当に
お墨付きを貰っている業者は、「お墨付き」それ自体は物(書面)
として存在するから、制度が無くなり期限が切れても、物自体を
喪失しない限りは、それを持っているという事実は嘘ではない

「宮内庁御用達」をお墨付きや制度と見ないで一般的な日本語として
解するならば、一回でも納めた事実を自慢げに掲げることも出来る

商品表示として品質や産地、内容を示していないので効能効果を謳ったり
産地偽装のような、商行為法上の規制が全くないので庶民は騙され易い


世間一般としては、宮内庁御入用も皇室御愛用もそれらと区別が付かないから
罰則規定もなく自由に名乗れるので言った者勝ち、名乗得ということである

自称「宮内庁御用達」を簡単に整理すると

1 宮内庁に昔、「宮内庁御用達」をもらっていて、今も納めている業者

2 宮内庁に昔、「宮内庁御用達」をもらっていたが、今は納めていない業者

3 昔品物は納めていたけれども、「宮内省御用達」をもらえていなかった業者

4 宮内庁御用達の制度がなくなった以降に品物を納めている業者

5 継続的に品物を納めてはいないが、その商品が何度か購入された業者

6 嘘八百、勝手に名乗っているだけで何の関係もない詐称業者


このうち、1と2はお墨付きが保存されていようが、焼失等で無くなっていようが
旧制度上の正規取得者として自他共に本物と言っていいだろう

3は制度のあった当時でも、沢山の納入業者の中で高いハードルを
クリアした認可業者ではない、その他大勢の側だったのであるから
納入実績が、制度下、廃止後を問わずあったとしても「宮内省御用達」の
意味を知ってその呼称を使うのは詐称であろう
ただ、実態として悪質性は低い部類に該当するだろう

4は過去の制度には直接は関係ないが、「宮内省御用達」という文言を
日本語の「(宮内庁への)納入業者」と言う意味で用いているだけと
考えると厳密には詐称であっても悪質性は同様に否定できるだろう

5は制度下、廃止後を問わず日本語としても単なる「納入実績あり」に
過ぎず、「御用達」の意味には当たらないだろうから誇大表現を大きく
超える詐称であり、6程ではないにしろ悪質性も肯定されよう

6は論外、商標やブランドと同じく、他者の知名度や人気、集客力に
ただ乗りしようとする最も悪質な行為で、罰則規定のない事を知っていて
名乗っている場合が多いから、悪意・害意ともに最も大きいと言える


実際、制度下で当時発給されたお墨付きの数は約110と言われるのに
現在、自称・他称を合わせると約260の業者が謳われているというから
本物は、公称を控えるということを踏まえると大部分は詐称だと考えられる

巷の情報不足や事実情報の齟齬を少しだけ補足しておくと
昨日のテレビでは制度廃止を昭和29年と紹介し、文献等の多くの資料も
1954年(昭和29年)を廃止の時期としているが、かの有名な
ウィキペディアをはじめ、そこからの請け売りと思われるブログなどの
ネットに蔓延する情報には1958年(昭和33年)と言う記載も見られる

もちろん前者がネット上でも圧倒的な多数派ではあるが、
ネット情報の真偽は多数決では絶対に決まらないし
個人的な感覚では分かり易い嘘の方が多数派に成り易いと感じている

この両者の齟齬を埋める情報はネット上で幾ら検索しても出てこないだろう
あくまでも推測の域を出ないが後者が間違いではないと仮定してこの2つの違いを
現在の知識で分析し言及すると、恐らく制度下で最後のお墨付きを付与された業者の
その最終期限が満了するのが遅い方の時期(後者)なのではないかと思われる

廃止が決定すると、その少し前から新規の発給や更新はされなくなるので
認可を受けるまでには5年以上の納入実績が必要とされ、受けた後も
5年毎の更新制だったように記憶しているから付与が停止される少し前に
初めて認可を受けた業者、あるいは更新を済ませたばかりの業者のお墨付きが
切れるのが廃止後4年程度だったのだと考えると辻褄が合うことになる

制度が廃止されても付与された認可が直ちに取り消されたり
無効にされたりするわけではないから、こうしたことは十分に起こりうる

制度の制定や廃止のアナウンスを以て、その制度の撤廃と見るのか
現実に公式な「宮内庁御用達」が世の中から完全に無くなってはじめて
撤廃と認めるのかは考え方の違いであって間違いと言う程のことでもないのだろう

無線の世界でもその昔、通称CB無線、市民ラジオが免許制度の廃止で
免許状の取得を要しなくなり、新規の免許は発給されなくなったが
直前に発行された免許状の有効期限はあくまでも発行から5年間であり
そう解することに法的な意味も実質的な効果も全くないが5年後の更新が
出来なくなっただけでニックネームではない正規のコールサインがある
以外には全く意味がなくなっても免許状の存在自体が否定されるという
ことでは決してないのである

そう思えば、もともと名乗るだけのステータス的な要素の大きかった
「宮内庁御用達」のお墨付きは新規の付与が無くなっても発給済全部の
期限が切れてはじめて全廃という見方をしているウィキペディアの解釈の方が
リーズナブルなのかも知れないし、名乗っても嘘ではない業者が存在した
最後の時期という意味では正確とか厳密とか言う見方も出来るだろう