親父が通販でレコードプレーヤーを買った。 なんでも、レコードを簡単に聞けるようにテープに落としたかったようだ。 でも、せっかちな親父はレコードの録音機能がないプレーヤーを買ってしまった。 「テープデッキが付いているから録音できると思った」との事。 通販雑誌を良く見ると、ちゃんとその事が書いてある。 まあ、この手の失敗は今に始まった訳ではないが・・・。 それでも諦めきれないのか、さすがに私に相談をしてきた。 (私と親父との仲は最悪で、普段は全く話をしない) 仕方が無いので、私が昔使っていたレコードプレーヤーを倉庫から引っ張り出してきた。 引っ越しの時に邪魔だと思ってしまっていらいだから、もう10年以上使っていない。 久しぶりのセッティング。 カートリッジを取り付け、水平を出し、針圧やその他の調整。 電源コンセントの向きまで管理されている。 とにかくチマチマした作業。 CDや圧縮オーディオに慣れてしまうと馬鹿馬鹿しいほど面倒だが、何故かそれが新鮮に感じる。 全ての調整を終えて、そっと針を落とす。 スクラッチノイズがわずかに聞こえ、演奏が始まる。 イコライザーアンプを通したレコード独特の音質。 なんでしょうねぇ、あの感覚。 とても懐かしく、少し郷愁すら感じる。 CDなど手軽で高音質のデジタルオーディオの良さを知ってしまうと、レコードはとても面倒だが、「わざわざ手間をかけて音楽を聴く」という行為もたまには楽しいと思った。 |