映画のタイトルがストレートすぎるが内容はR指定モノじゃありません。 ダウンタウンの松本人志監督の「さや侍」が公開されたが この物語もおよそ立派な武士とは言いがたいがひとりの懸命で一途な侍の話です。 原作は山本周五郎の小説を映画化しており主役に松田優作を擁したものと コント55号時代の萩本欽一が主役をつとめたものの2作品がある。 欽ちゃんのほうのタイトルは「初笑いびっくり武士道」 おちゃらけた題名だけどしっかり「ひとごろし」がベースです。 今回はこの二つの作品を絡めながらレビューしていきます。 主人公○○は武士には程遠く野良犬にも怯えてしまうほどの 臆病侍で、周りからも呆れられていた。 ○○には年頃をむかえた妹がいるのだがその兄のために 縁談話もやって来ない。 そんなある日、藩の家老と武道指南役の△△と私闘が起こり 家老が討たれてしまう。 殿様が大事にしていた家老が斬られたことにより主君は大激怒。 △△は藩を逃げ出し追われる身となる。 これを見逃すわけにいかないので「すぐに追手を差し向けよ!」 と家来に命じるがなにせ藩の指南役、剣でかなう相手ではない。 誰もが後退りするなかなんと○○が名乗りを挙げたのである。 ○○は縁談が来ない妹のため、そして自分の名誉のために一大決心 をしたのだった。 さて、ここで配役を紹介しておきましょう。 ○○・・松田優作 優作本来の男らしさを抑えつつコミカルな腰抜け侍を熱演している。 △△・・丹波哲郎 いかにも剣豪が似合う配役だろう。近寄ると斬られそうだ。。 欽ちゃんのほうは。。 ○○・・萩本欽一 △△・・坂上二郎 ところどころにコント55号のギャグを連想しそうですがコントはありません。 原作のストーリーにのってしっかり演技してますよ。 では物語に戻ります。 道中で〇〇は△△に出くわすがその殺気に腰を抜かす始末。 このままでは役目を果たすのはムリと感じた〇〇はある作戦をひらめいた。 街道で休憩をとろうと茶屋に寄った△△ そこへ〇〇があらわれ大きな声で叫んだのである。 「ひとごろしーー!!」 「その男は人を殺し、逃げてるぞー、近寄ると殺されるぞー!」 慌てて持ってきたお茶を放り投げてしまう主人や 急いで剣豪の周りから逃げ出す旅人たちで周囲は大騒ぎ。 △△は休息もできず〇〇に訴えた。 「卑怯者、武士なら正々堂々勝負しろっ」 「いえ、私は剣ではあなたにはとてもかないません。 私は私なりのやり方で戦っていくつもりです。」 「けっ、好きなようにしろ」 そうして二人の変な道中が始まっていきます。 どこかの宿に泊まるたびに〇〇は「ひとごろし」を連呼するのだった。 宿に断られどこにも泊まれないので野宿するしかない。 ろくに食事もできないうえ次第に疲労していく△△。 そんなある日、また旅籠にたどりつく。 宿に泊まろうとすると例によって〇〇が「ひとごろし」と叫ぶが、 ここの女主人が「お困りでしょう、宿は人をお泊めするのがなりわいです。」 と△△を泊めるのだった。 がっくりと肩を落とす〇〇も仕方なく同じ宿に泊まることにした。 その夜、女主人がなぜあのような武士らしくないことをするのですと尋ねてくる。 〇〇は妹のことや自分のことを包み隠さず話すのだった。 次の日、旅支度をした女主人が〇〇の前に立った。 「私もあなたのお供をします。 ふたりで交代で叫べばあなたも助かるでしょう。」 「?・・でも宿のほうはどうするんですか?」 「あそこは番頭と女中頭に任せました。」 「はぁ?でもなぜ?」 〇〇はすきっりしないままにもここから3人の旅道中が始まったのです。 二人からひとごろし呼ばわりされ続けた△△はついに限界がきてしまいます。 「俺はここで腹を切る、おぬしはこの首を持って国へ帰れ。」 「いや、私はあなたの首も興味ない、そのうえ血を見るのも嫌です。」 「ではいったいどうすればよいのじゃ。」 「ではこうしましょう。」 やっと本懐を遂げられるというのに腰抜け侍はまた何を思いついたのか? さすがにオチは書けません。 松田優作の「ひとごろし」のラストはあっけなく終わってしまいますが 萩本欽一のほうは国に帰り妹の花嫁行列を晴れやかな表情で歩くシーンで終わります。 こちらのほうが余韻に浸れていいものです。 気になる彼と女主人ですが映画では明かされませんが さて一緒になったのでしょうか。 |