一昨日夕方から会議があり、出席メンバーのある大学の副学長が冒頭…“みなさん帰るまでに、今からお渡しするアンケートに記入をお願いします。”と言って用紙を配った。 会議中にアンケートに書き込めという指示を、学校関係者がするのも“授業中に好きなことをやってもいいよ!”と言っているようで妙な話だと思いつつ、私は言われるままに答えを埋めて行った。 アンケートの中身は防災への備えについてであった。 昨日再び副学長に会い、アンケートの目的について話を問うと、阪神淡路大震災から19年目をむかえるにあたり、市民の防災への備えの希薄化を証明したかったと答えた。 そお…そのとおり…私も震災の記憶は遠いものになりつつある。20年という年月は、忘れてはならない記憶を風化させるのに、充分な時間に違いない。 副学長は語った。“南海トラフが動いたら阪神淡路大震災の被害どころの話ではおさまらないよ!今、災害を防ぐ備えをしておかなければ…、19年前の震災の恐ろしさを知っている者が、それを越える地震の備えをしないでどうする?先ず自分の家の耐震対策をちゃんとすることを忠告する。家が無事であってこそ…はじめて次の行動ができるのだから…。” 昼から、友人のブログを見た。今朝の追悼式の参加の様子が写真とともにつづられていた。 私も、遅ればせながら黙とうをした。 2014年1月17日 |
85才の私の母は同い年の女性と二人だけで生活している。私は、週に2日だけ泊まりがけで様子を見に行っている。 以前から、私はもっと便利な町中に引っ越すことを提案してきたのだが、庭が広く空気がきれいで、かかりつけの医者が良くしてくれるからと言う理由で今の家を離れることを拒んできた。 ところが、老婆の二人住まいは、相手が倒れた場合には自分の負担が大きすぎることに最近気が付き始めた。主治医もかなりの高齢であり、頼りの医者が自分より先に倒れてしまうこともあると考え始めた。 2人の老婆の健康と幸せを心から祈ってはいるが、この状態が長続きしないことを私はよく理解している。 今年は、大きな変化の年になると思い、彼女達の思いを尊重しながら柔軟に最善の対応ができるように備えたい。 因みに私が年をとれば、すすんで施設に入りたいと考えている。 |
会社から駅までの通りの途中に、小さなレストランがある。そば粉のガレットの専門店だ。値段も手ごろで、内装や調度品もしゃれている。 店に入ると目を引くのが壁にかけられた一級品の版画(リトグラフ)である。私に言わせれば版画を飾るためにつくったお店のようである。 もともと店のオーナーは料理学校の先生で高級フレンチのオーナーシェフでもある。一昔前、レストランウエディングで儲けた金で買い集めた美術品のコレクションを置くためだけにマンションまで購入したと言う好事家だ。今ではフレンチレストランとガレットの店は他人に任せ、自分は新鮮で美味い食材をもとめて山のなかに引っ込み、予約客だけの小さなオーベルジュに張り付いている。 昨日通りがかりに気が付いたのだが、ガレットの店のなかが、貼り紙もなく片付けられていた。今朝通ると椅子やテーブルが運び出されており、人の気配がない。 どうしたのだろう?店を閉めるのだろうか?それとも改装するのだろうか? 確かに、路面店なのに客はあまり入っていなかったように思う。店のオープン時にオーナーと話したことを思い出した。“他人がなんと言おうと、自分の好きな店を思うスタイルでやれるって素晴らしいですね!他人がとやかく言うことはないですよね。” 自分の夢を形にした彼は、どんな気持ちで今をむかえているのだろう? これが改装であってほしいと願いつつ、通り過ぎるだけになっていた自分を少し責めた。 シェフには夢を追っていてほしいと思うのだ。 |
会議が続いた先週中頃には、咳が止まらなくなり、何度も中座する始末だったが…、 昨日から少しましになってきた。 苦しんだ咳はほとんど止まったけれど、代わりに眠たい。ともかく眠たい。 今なら、いくらでも眠れる感じだ。 薬のなかに、眠気を誘因するなにかが含まれているに違いない。 昨日からこっそり部屋にこもって昼寝をしている。 なにもしないで、椅子にもたれて眠ることにする。 もうひと寝入りして、帰ろう。 私が居眠りしていることを誰にも言わないでほしい。 |
午前中、25年前に新幹線の駅の近くにできた商業施設に行った。 当時近隣の在来線の商業施設の売場面積の40%にあたる売場を持つ商業施設が、一気に立ち上がることに、古参の地元商業者が戦々恐々としていたことを思い出した。今日久しぶりに施設内に入ってみたら、すっかり寂れていた。 新しい施設には、できた時には人が集まるが、時間が経過して近くにさらに新しいものができれば、すぐに錆びれてしまう。当たり前のことだが、活気に溢れていた、できた当時の様子を思い出し、寂しさがこみ上げた。新しいものは古くなる。老舗や伝統になることは難しい。 10年単位、四半世紀単位で町の盛衰を語れるほど、自分も古くなったことを、素直に受け止めなければならない…と、思った。 私は、私が生きた証を誰かに伝えてもらえれるような人間にはなれそうもない。 |
私が今まで生きてきて、今でも強く心に焼きついてる出来事を羅列してみた。 ・皇太子殿下(現天皇陛下)御成婚 ・新幹線開通 ・東京オリンピック ・人類初の月面着陸 ・大阪万国博 ・札幌オリンピック ・長野オリンピック ・阪神淡路大震災 ・サリン事件 ・9.14 ・東北大震災 オリンピックって、凄いインパクトがあるな…。 思い出しても海外の出来事は、あまり印象にない。 親父の死は、受け入れるべきことだからな…。 阪神淡路大震災以外は、遠い世界の出来事ばかりだ。 世界では、常にどこかで戦争が起こっているのに、私の頭の片隅には戦争という言葉がない。 パソコンや携帯の普及も、凄い時代の変化だと思うけれどここには並べられない? 病気以外に死を実感したのは、阪神淡路大震災の揺れと、石油タンクがガス爆発すれば周囲10kmが火の海になるってニュースで報じていたことかな…。 会社が倒産しかけた時や、病気で死にかけたことは、人生にとっての大きな節目だったと思う。 私のようなローカルな人間が、これから、まだまだ凄い出来事に遭遇するだろうか? こんなことを考えていると、自分が今幸せだと実感する。 |
昨日、ある女性が私を訪ねて来た。彼女の亡くなった祖父は町の華僑社会のドンで、社会的地位のあった人物である。 彼女は、いつものように小学校前の一人娘を抱いてやってきた。同じ町の活性化のために動いていた親しい女性から活動から手を引きたいという話を受け、私に相談に来たのだ。 さて、相談の中身はさておき、彼女から祖父の生前のエピソードを聞かされ、心に残ったのでここに書いておくことにした。 “私が、学生の頃、おじいちゃんにハワイに行くから100万円ちょうだい…と言ったら、1万円しかくれなかった。でも祖父は、ある学校には5000万円もの寄付をしていた。そして周囲にするだけのことをしたら自分に必ず戻ってくると言っていた。だから私は目先の利益ではなく、20年先…この娘の代になった時に、町が栄えているように願って、今町のために良かれと思う事をするの…。”と、言った。 ちょっと旅行へ行くのに100万円ねだるなよな…と、思ったが、私は私より若い彼女の信念に感銘し、彼女のためにできることは協力したいと思った。 |
先日ここで書いた…店じまいした“そば粉のガレットの店”の前を通ったら、ちょうどシェフが店に入ろうとして私に気づき、声をかけてきた。彼の話では、オーナーのシェフは、昨年の5月の連休明けに癌の宣告を受け、治療に専念するため山の中のレストランも以来休業していたと聞かされた。シェフの病気のことは伏せてガレットの店だけを営業してきたが、このたび山の中の店を任せると言われ、シェフが療養する山里に腰を入れるのだそうだ。 山里の店には一昨年の秋に行ったきり…、主人にもそれから会っていない。昔仕事を一緒にしたこともある彼の病気のことを今日まで知らなかった不義理を悔いるばかりである。 かと言って…目の前のシェフに現在の体調をねほりはほり聞くこともできず、ガレットの店を後にした。 人生には、なにが起こるか分からない。 彼の料理は、もう食べられんかもしれんな…。 私よりも若い彼のこれからの人生が、充実したものであることを祈りたい。 |
私の年上の知人に…、自分が始めた事業の失敗で12 年前に先祖から受け継いだ財産のすべてを失った人がいる。 彼は数年前に心筋梗塞を患い、癌を宣告された奥さんの面倒をみながら新しい事業を起こそうと頑張っているようだが、何をやっても上手く行かず、諦めては直ぐにまた新しい事に手を出すという悪循環を繰り返している。 私は、彼とはある一定の距離をおいて接することにしている。その理由は、彼は私の言うことをいつも自分に都合の良いように理解し、極端な場合私の意図する全く逆の意味にとることがあることを知ったからである。要するに分からん人間だからだ。 彼が何故そんなトンチンカンな理解をするようになったのか、最近やっと腑に落ちた一瞬があった。 思ったことを羅列してみた。 子供の頃から今までの間、彼に逆らう者がいなかった。彼の考えに面と向かってダメだしする人がいなかった。彼のことを心から思って怒る人がいなかった。もしくはそんな人から逃げた。彼をかばう人が常に周囲にいた。あるいは隠れる場(逃げ場所)が与えられた。…と、憶測してみた。 そうすると、彼のことが実に理解できるような気がしてきた。 さて、これから彼に手を差し伸べてみるか?それともやはり距離をとっておくか思案のしどころだ。 やはり近づかないにこしたことはないと、自分の気持ちが落ち着くことを願う自分である。 |