一緒に過ごして幸せだった わずかな時間も終わり 別れの時がもう少しでやってくる空港 あと20分 手をつないでいよう と キミは無邪気に手を差し出してきた 人前で手をつなぐ そんな経験のないまま 大人になったボクは 少し気恥ずかしく感じたけれど ちょっと勇気を出して その手をとったんだ 手をつないだまま 椅子に並んで座り 二人はなんでもないような会話をする あと少しでお別れなのに もっと話すことたくさんあったろうに でも 本当になんでもない話を続ける それが 当たり前の幸せ だったからか まだ慣れない二人の照れ隠し だったのかは 今でもよく分らない でも ボクはその時こう感じていた もう少しで また離れ離れになるけど でも ボクはこの可愛い手と この先を一緒に生きていくんだな 春は 手をつないで 綺麗な花を見て笑って 夏は 手をつないで 花火を見上げて楽しむ 秋は 手をつないで 色づく紅葉に見惚れて 冬は てをつないで お互いの寒さを暖めあう 元気なときは 手をつないで 一緒に喜びを分け合い 病気のときは 手をつないで お互いを励ます そんな風に ず~~っと一緒に 手をつないで生きていって そして ボクが旅立つときも その可愛い手を握って ありがとう キミと一緒に生きてきて とても幸せだったよ そう伝えたいな って 別れまでのわずかな時間なのに 一生分の幸せを妄想しちゃってた 自分でも バカだな~って思う 思ったけど でも とっても幸せだった ついに別れの時がきて 二人は名残惜しげに 手を離す また 絶対に逢おうね と 約束をして ボクはキミを見送った けど このときを最後に ボクは彼女と会うことすらかなわなくなった キミは いとも簡単に ボクじゃない誰かと 手をつないでいくことに決めてしまった 独りになったボクは 訳も分からないまま 自分の手を見つめるしかできなくなってた 時が流れ 季節が移り変わり始めて ようやく 少しずつ ボクは自分を取り戻せてきた と思う キミが選んだ人は ボクのように キミと生きていく事を 幸せに感じてくれてるかな? そしてキミは ボクには感じなかったのかもしれない 永遠のような一瞬を その人に感じる事ができただろうか? どうか 今度こそ つないだその手を離さないで キミの本当の幸せを見つけてほしい ボクも 必ず キミ以上に 優しくて 温かくて 可愛い手に出逢ってみせるから 一瞬じゃなく 本当に永遠に 手をつないで生きていくから |