まだピンチは終わってませんが・・世の中、まあ自分の思い通りにはいかないものです。。
ギリシャ神話の中に、妙齢の美女、王女ミュラーという人がいます。
しかし、母親が娘の美貌をあまり吹聴してまわるので、美の女神アプロディッテの嫉妬を買い、エロス(ローマ神話のキューピッド)に矢を射らせ、実の父であるキュプロス王へ恋するよう仕向けます。
乳母が思い悩むミュラーを見かね、自らの死を覚悟して、王の寝室に手引きし、ミュラーは毎夜臥床(ふしど)に忍び訪れ、夜伽(よとぎ)をするようになります。
ところがある日、松明の灯かりで王は、夜伽の相手が自分の最愛の娘であること知り、嘆き悲しみます。。
恐ろしい罪を犯した娘は、アラビアの南まで逃げ、「地の果てで、人知れず絶えさせてください」と祈ります。。
願いは叶えられ、ミュラーは没薬の樹と化し、やがてその幹の樹皮が裂け、美男子の代名詞であるアドニスが生まれます。。
少年に成長したアドニスを見守っていたアプロディッテですが、今度はエロスの悪戯で矢を射され、アドニスへの恋に溺れてしまいます。。
ある日、一人で猪狩に出たアドニスは、鋭い牙で胸を刺され、叫び声を聞いてアプロディッテが天上から駆けつけた時には既に息絶えていました。。
アプロディッテは、まだ生暖かい骸を抱き、涙が涸れるまで泣き明かすのでした。。

やがて、アドニスの胸から流れた血から真紅の花が咲き、[風花](アネモネ)と呼ばれるようになりました。 |