休んで何をするかといっても 趣味もなく、恋人もなく、子供もない人には 時間の流れるままに怠惰に過ごすのである。 散歩に出掛けて、紫陽花の色を楽しみ ビワの実がなる木に思いをよせて 歩いていると ホーホケキョと鳴く声がこだまする。 住宅街のこんもりした茂みの中に 潜んでいるが姿は見えない。 山に行けば珍しくもなかろうが 都市の中でウグイスの声を聞けるとは。 休みの日に何か特別にすることもなく ただ歩いているか本を読むだけだ。 高峰秀子さんの影響か 散歩の途中にある 骨董屋の店先で立ち止まったりするが 中まで入る勇気はない。 店先の咲いている紫陽花が 雨に濡れて綺麗だ。 先週ここですれ違った女は 化粧もなくスッピンであったが 今日はどこに居るのかなと。 紫陽花の写真を撮りに カメラのシャッタを切っていたら バッテリ切れである。 自分自身の目で記憶に 残す他なく彷徨う休日だ。 |